「購入後」までデザインする
私は作家ものの器が好きで、LIFE IN THE GOODS.というギャラリーショップによく伺っています。
今日はLIFE IN THE GOODS.で体験し、感動したことについて書こうと思います。
飯高幸作さんの花器と箸置きを買った
つい先日、飯高幸作さんという埼玉県で作陶されている方の花器と箸置きを購入しました。
最近部屋に生花を飾る余裕が出てきたので良い花器がないかなあと探していて、出会ったものです。
土のざらっとした質感と表面の縞模様に削った跡(「しのぎ」と言います)がとても力強い風合いなのですが、オリーブグリーンとベージュが混ざったような柔らかな色の釉薬のおかげで優しさも感じられる、絶妙なバランスを持った素敵な花器です。
箸置きはマットな手触りとサクッと切ったような断面・角が美しく、食卓に並べるとその場をキリッと締めてくれる気がします。
もともと家にひとつ持っていて、ペアで欲しいなと思っていたので購入しました。
購入後、袋に入っていた紙がこちら。そこにはこんなことが書いてありました。
うつわについて
この商品は、目止めの処理をしておりますので、そのままお使いいただければ幸いです。
またご使用後は出来るだけ早めに洗ってよく乾かしてから保管してください。
目止め処理というのは、陶器にある目に見えない小さな凹凸をふさぐことです。ふさがずに使用してしまうと食べ物の色やにおいが陶器についてしまう可能性があります。(物によっては目止めしなくて良い物もあります。)米のとぎ汁に浸けたり煮沸したりと時間をかけておこなう工程なのですが、飯高さんの作品はあらかじめ目止め処理をしてある、とのことでした。
このような作家さんに出会ったのは初めてで、「目止めが面倒」「そもそも目止めってどうやるの?」「新しい器を買ったらすぐに使いたい!」といったようなお客さんの購入後の気持ちや手間を配慮されているなあと思って、感動しました。(個人的には目止め処理も含めて楽しんでいるのですが...!笑)
買うとき、店主の羽田さんに「今日車?」と聞かれた
購入した花器を店主の羽田さんが包んでくださいます。割れ物なのでプチプチ(気泡緩衝材)で丁寧に。最後に「今日車?」と聞かれました。その日は車で行っていたのですが、徒歩や交通機関で行った時にはプチプチで多めに包んでくれます。
これは持ち帰る時に割れないように購入者によって対応を変えられてるのだと思います。人によってどんな梱包が最適か確認することで、購入後、より安全に持ち帰られるように配慮されていると気付いて感動しました。
プチプチを留めるセロファンテープの端が折り込まれていた
素敵な器を購入し、車でわくわくしながら帰宅。さっそく開けようとプチプチについているセロファンテープに手を伸ばしました。すると、、セロファンテープの端が折られているではありませんか。ペリって剥がしやすい!!ネットショッピングやお買い物をする中で、しっかりとくっついたセロファンテープやガムテープの端を爪でガリガリするのって、もどかしくストレスな時間ですよね...。(ハサミを使え)時間がかかるし。たまに爪と肉の間にキッと入ってきて「ヒィ!」ってなったり...。でも!!羽田さんの梱包は!!ハサミさえ使わず!!!一瞬で剥がれた!!!!ペリ!
端を織り込むことでストレスなくテープをはがせるし、購入品にも素早く触れられるし、ストレスが全くなくてめっちゃ最高じゃん...と感動しました。一見「誰でも出来るじゃん」と思われそうだし気付かれないような配慮ですが、そういうものの積み重ねこそ気持ちの良い購入体験につながるのでは、と思います。
「購入後ユーザーにどうなってほしいか」までデザインできるようになりたい
ここまで、3種類の「購入後の感動した体験」を紹介しました。何かを売るとき、「お客さんが商品を購入するまでにどんな宣伝や接客などのアプローチが必要か」ばかりに目が行きがちですが、この体験を通して「購入後、お客さんにどういう体験をして欲しいか」まで配慮することが大事だなあと改めて感じました。またこれらはお二人が購入者の視点を知っているからこそできる対応だと思います。
3つの体験はいずれも「無くても成立するけれど、あったら より気持ちのよい体験をできる配慮」であり、飯高さんやLIFE IN THE GOODS.にファン(私含め)が多い理由だと思いました。
私はお仕事で日々サービスデザインをしています。今回お二人の細やかな配慮に気付いてから、「ユーザーがサービスを契約した後もがっかりさせない/気持ち良いと感じてもらえる」ような視点も持ちながらサービスを成長させていきたいなあ、と改めて思いました。
羽田さん、飯高さん、素敵な作品と気持ち良いご対応をいつもありがとうございます〜!
(LIFE IN THE GOODS.は本当に素敵なお店なので、福岡やお近くにお住まいの方は是非行ってみてくださいね〜〜)
▼飯高幸作さんのホームページ
▼LIFE IN THE GOODS. Instagram
最後に、我が家の飯高さんコレクション(最高に使いやすい)を見せびらかして終わろうと思います。
最後まで読んでくださってありがとうございました!
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