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傘をささない人

昨日までの暖かさと打って変わって、寒く冬の天気が戻ってきました。

しかも通勤先の最寄り駅について、地上へ向かうエスカレーターをのぼっていると、到着した人たちが、傘を開いている。

天気予報をみてきた私は、かばんの中に折りたたみの傘をいれている。

あたりまえとは

雨が降ったら傘をさす。
傘をもっているならなおさら。

これは私がもっていたあたりまえの感覚だった。

その感覚が変化するきっかけとなったのは、卒業旅行で訪れたサンフランシスコだった。


サンフランシスコ

初めての海外旅行だった。

友人と二人でツアーに申し込み、フリータイムに観光にでかけたとき、雨に出会う。
私と友人はもっていた折りたたみ傘をさし歩いているのだけれど、周りにいる現地の人が、ほとんどみんな傘をさしていない。

雨宿りするでもなく、普通に歩く姿に、傘をさしている私達のほうがおかしいんじゃないかと思うぐらい。

天気予報をみるという習慣がないのだろうか?
折りたたみ傘という、便利に持ち歩けるものがないのだろうか?

色々考えてみたけど、直接聞くわけでもなく、時は随分流れた。

新潟

何度目かの引っ越しで、私は新潟にいた。
そこはペーパードライバーの私にとって試練?の車社会だった。

住み始めた当初は、子供が3歳と1歳。

役所に手続きにいくにも、遊びに行くのも徒歩や電車でなんとかしていた。家の前にスーパーがあり、普段の買い物にはまったく困らない。雨の日はなるべくでかけないようにした。

でも、やっぱり徒歩で行ける範囲には限界があり、必要に迫られて車の練習をした。

そんな車社会に慣れてくると、傘の出番がめっきり減った。

車を使うようになると、歩いて出かけることが少ない。家から駐車場とか、駐車場からお店とか、そういう短時間では、子供を連れていると、傘(危険なもの)をささずにささっと行くほうがスムーズ。

そのうえ、誰がなんの根拠でそう言っていたかはわからないけれど、新潟は雨が少ないらしい。(この雨には雪は含まない。)

言われてみればそんな気もする。
車に乗っているから雨を意識しないせいかもしれないけれど。

雪はビシャビシャな雪なら傘が必要だけど、フワフワの雪なら、上着のフードでしのげる。

そしてあるとき、ふと卒業旅行で行ったサンフランシスコを思い出した。

めったに降らない雨のために、傘を持つのは面倒だし、ちょっとぐらいの雨なんて傘がなくても大丈夫。

だから折りたたみ傘なんて持たないし、持っていたとしてもちょっとの雨ならささずにやりすごしてしまうのだろう。

何年も前のできごとが、ようやく腑に落ち、私のあたりまえの感覚がかわった時だった。

引っ越しとは

住む場所がかわると、それまであたりまえだと思っていたことが、そうでもないんだな、と思えることがある。

訪れたぐらいじゃわからない、そこに住んで、日常を送るなかで、ようやく見えてくること。

それは考え方によっては、今までうまくいってたことが、うまくいかなくなったりもして、大変だったりするのだけど、これまでと違う新しい物事の捉え方ができるようになる、ということは、柔軟な対応ができる力がつくようで、そんなに嫌いじゃない。

そんなわけで

新潟からさらに引っ越して、今住んでいるところは車社会ではないのだけど(すっかりペーパードライバーに逆戻り)、傘をさしたり、しまったりすることよりも、ちょっとぐらい濡れてもいいや〜の気持ちが大きく、持っていた折りたたみ傘をつかうことなく、最寄り駅から職場までダウンのフードをかぶってやりすごしたのでした。


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