オペレーション組織の0→1ができるまで/キャディ創業5周年記
¶ 自己紹介
noteを見て頂き有難うございます!
CADDiのDRAWER事業部の土生(ハブ)です。
(twitter : @thabu111)
創立5周年記念note 14日目になりますが、他の記事は以下にまとめているので、是非こちらも御覧ください。
私のキャリアとしては決済業界に長くいまして、事業開発/プロダクト開発/Sales企画/オペレーション設計などBiz領域で何でも屋をやってました。
新規事業でなにかの立ち上げPJに関わることが多く、カオスな環境に揉まれてきたので普通じゃ満足できない体になってます。
CADDiには2022年1月に入社をしまして、DRAWER事業部のオペレーション部門の責任者をしています。
DRAWER事業部の1人目のBizメンバーとしてジョインし、最初はこんなイベントもやっていましたが、今では数十人規模まで組織が拡大しています。
今回は、オペレーション組織の0→1を作るまでの事についてお話します。
¶ 何をやっているのか?
我々は「モノづくり産業のポテンシャルを解放する」をミッションに掲げ、創業当初から行っているMANUFACTURING事業に加え新規事業として立ち上げたのが”CADDi DRAWER”です。
SaaS型のプロダクトで製造業における図面データをCADDi DRAWERに登録して頂くことで、調達原価削減・図面検索工数削減など調達業務に関する付加価値を提供するサービスになっています。
オペレーション部門はCADDi DRAWERを利用して実現したい要望をシステムに環境設定を行い、お客様にプロダクトを届けることを行っています。オペレーション部門が実施した業務がそのままお客様にダイレクトに価値として届きます。ここでなにかミスをしてしまえば、価値提供ができず信頼も失うことになり、非常に重要な業務で責任感を持ちチームのメンバーは一丸となって業務を行っています。
¶ 0からのオペレーション設計
私が入社した2022年1月はβ版としての顧客向けアプリケーションはできていたのですが、オペレーション側はほぼ何もない状態でした。
マニュアルも業務フローもオペレーションをするためのプロダクトもなく、システムに登録するためのデータを作成するのにPythonスクリプト叩いたりRust環境構築して作業したりという状況w
さーなにから取り掛かろう? っと思いましたがまずは、
を行いました。
ここで難しいのが「ToBeはどこに基準を置くのか? 」です。
基本的な考えとして、中期経営計画等の事業目標からブレークダウンして設定していくべきです。CADDi DRAWERはお客様から数十万、多いときは100万枚を超える図面データを扱わなければいけないため、それを処理できるだけのオペレーション体制が最低限必要でした。まずはそこを基準にローンチまでに整えることをToBeと置きました。
オペレーション設計に入り、オペレーションプロセスを分解し業務フローを整えマニュアルやツール作成、OpsProductの開発とやっていくわけですが、本当は全部話したいんですが、今回はオペレーション設計する上でのフェーズごとの考えをベースにお伝えできればと思います。
オペレーションは設計して終わりではなく、常に改善し続けオペレーショナル・エクセレンスを実現する事が重要です。
そのために、以下の図のようにオペレーションの全体や個別のプロセスに対して各フェーズをグルグル回していきます。
フェーズ① 属人化
まずは該当のオペレーションについて徹底的に属人化をします。一般的に「属人化は悪だ!!」と思われがちですが、本当に悪いのは属人化し続けることです。
属人化はこの後のフェーズである標準化や自動化に必要なプロセスです。
属人化も単に「オペレーションを知っている」レベルではなく、高い解像度で業務を理解することが必要です。オペレーション単体の話だけでなく、SalesやCSなど関係あるファンクションの状況、プロダクトの理解、システムやデータ構造などビジネス全体を理解してオペレーションと接続します。
そうすることで標準化/自動化に向けた戦略立てと意思決定ができるようになりますし、運用フェーズで発生するイレギュラーな事象にも適切な判断ができるようになります。
どうしてもオペレーションの中だけで考えてしまうと、視野も狭くなっちゃうんですよね。
フェーズ② 標準化
次は属人化された業務を標準化していきます。ここでのゴールは「誰でも業務ができる状態」です。
具体的には、新しくチームに入った人でもすぐに該当オペレーションをオンボーディングして実施できるようになること。
属人化したスーパーマンが業務プロセスをMECEに整理し、フロー整備とマニュアルを作成していきます。
オペレーションを標準化する上で大事なことは2つです。
日々業務をして運用していくものになるので、できる限りシンプルなものを目指します。複雑なオペレーションはミスやメンバーの疲弊にも繋がってしまいます。
また、業務をしていて判断基準が明確になっていないと間違った判断をしてトラブルになったり、都度確認が入り業務効率が落ちてしまいます。
オペレーションではマニュアル等のドキュメントも非常に重要です。作成する上で意識していることは2つです。
1点目の構造化ですが、マニュアルは常に閲覧されるもので更新もかかっていくものです。理解をするという意味でもメンテナンスするという意味でも、構造的に整理することはチーム全体の生産性を大きく向上します。
2点目の共通認識ですが、人は千差万別なので同じドキュメントを読んでいても違う解釈をしてしまうことがあります。なので、私はよくお絵かきしたり図やキャプチャを多用します。業務フローもそうですし、複雑な事象は絵に落として同じイメージを持ってもらうよう心がけてます。
また、標準化においてもっとも重要なのは運用です。設計フェーズでも運用を意識して作ることが大事になってきます。
せっかくオペレーションを作ったのに想定通りに運用されていないとか、いつのまにかマニュアル外のオリジナルオペレーションが作られて属人化されていた、なんてことはよくあることですよね。
イケてるオペレーションを作ることは大前提なのですが、そうならないためにも運用ルールの策定や一定のチェック体制の整備が必要です。
フェーズ③ 自動化
オペレーションが標準化して業務が回り始めると「もっと効率的にやりたい」、「業務負荷が高くてしんどい」って声が必ず上がってきます。
そこで、標準化された業務を自動化または廃止をすることで業務効率を上げていきます。
これにはいろいろな方法があります。
業務プロセスの見直しで改善
ECRSの4原則ですね。トヨタなど製造業でもよく使われているフレームワークです。
いまある業務プロセスを見直しすることで業務改善を図ります。
ツールによる改善
ひとえにツールといってもいろいろありますよね。スプレットシート、GAS、スクリプト、外部ツール、ツール間の連携等々。
基本的にはシステム開発をおこなわず、オペレーション組織内だけでクイックに実装でき割りと改善効果が高い方法です。
DRAWER事業部のオペレーションチームは今は極力外部ツールは使わず、スプレッドシートやGASやシェルスクリプトなど駆使して頑張ってます。というのも、事業としてはまだ始まったばかりであり不確実性が高く、オペレーション自体が変わっていく可能性が高いからです。
なので、こういったビジネス状況も踏まえてどの手段をとるのがベストなのかも考慮しながら検討する必要があります。
プロダクト開発による改善
自社のオペレーションツールといったプロダクトへの実装です。
一番効果が高い反面、もっともコストがかかります。
また、オペレーション組織としてはツール開発のPdMロールと開発担当の専任エンジニアを組織内に置き、ロードマップを作りしっかりと開発推進体制を整備することをおすすめします。
お客様へ提供するアプリケーションの開発が優先されて、オペレーション関連のプロダクト開発は優先度が下がってしまうという大人の事情が起こりやすいです。「人力でなんとかできるよね? 」っていう。。。
ビジネス上仕方ない側面はありますが、オペレーションのプレゼンスを高めておくことは重要です。
( DRAWER事業部はOpsのPdMも開発担当のエンジニアもいて恵まれている環境です! )
フェーズ④ コスト化
最後にコスト化です。
オペレーション組織はSalesみたいに売上を作ることはできないので、いわゆるコストセンターなんですよね。事業部の収益を考えたときにオペレーション組織が意識すべきは主に人件費です。
例えば、ある業務にかかる工数が10人月(単価50万)だったものを業務改善を行い5人月に減らせれば5人分の人件費が削減できます。月間で250万、年間で3000万の削減ができ、事業収益へのインパクトも大きいですよね。
単に工数を減らすだけでなく単価を減らすこともできます。正社員がやっていた業務をアルバイトさんや外部に業務委託したりなどです。外だしをすることでコスト削減以外のメリットもいくつかあります。
では、自動化で工数削減はできているので、単価を減らすことができる業務はどういったものでしょうか。
標準化、自動化しリーンになった業務は以下に分類でき、◯がついた業務は狙い目です!
一方で、外だしをすることでマネージメントする工数が新たに発生します。
アルバイトさんや委託先管理をするオペレーション設計と運用をしないといけません。
¶ オペレーションの組織作り
次は組織の話をしたいと思います。
ローンチも近づきSalesも本格化してくるといよいよオペレーションの組織についてもちゃんと考えていかないといけません。
チームでレバレッジを効かせることが大事ですからね。
そこで、まずは以下の2つを整理しました。
上記以外にも組織を運営する上でのAgreementの策定やオンボーディングコンテンツの整備、スキルマップの作成などいろいろやりましたが、今回はこの2つを紹介します。
組織に必要な役割(ロール)
組織に必要なロールや運用を定義する上で考え方としてホラクラシー組織を参考にしました。(実際にホラクラシーは運用してないw)
ホラクラシーの詳細はLaprasさんのサイトにわかりやすくまとまっています。
ロール単位でガバナンスを定義して明文化を行いました。
よかった点としては、通常のオペレーション業務以外に戦略策定や採用といったロールについても網羅的に組織に必要なロールとその担当/責任範囲が可視化され、体系化されたことです。
悪かった点は日々の変化が激しくアップデートするのが大変でしたw
いつまでに何人の人員が必要なのか
次に人員計画ですね。
事業計画から上記で整理したロールにどれだけの人員が必要なのかを逆算して計画を立てていきます。
そのために、オペレーション組織の人が増える要因となるレバーが何なのかを整理します。
SaaS事業なので基本的には以下の考えで整理します。
ここまで整理できれば、あとは鉛筆なめなめして必要な人員を計算します。
また、上記以外にも組織が拡大するにつれて必要な人材(企画やマネージメント人材等)も考慮して人員計画を立てます。
¶ 最後に
ここまでオペレーション組織の立ち上げについて話してきましたが、まだまだやることが沢山あり、正直やっと0→1までこれたかな? というフェーズです。
データドリブンなOps運営
オペレーションの品質向上
ナレッジマネージメント
事業部全体のオペレーション最適化(BizOps)
etc…
など、これからやっていくことは沢山あります。
オペレーションが磨き込まれそれが競合優位性となり、最終的にはユーザー及び業界の課題を解きモノづくり産業のポテンシャルを解放することを目指しています。
1→10→100を一緒に作っていく方を探してますので、興味を持っていただいた方は是非お話しましょう!
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最後まで読んで頂き有難うございました。
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