69. 廃棄漁網由来のかばん作りから見える問題解決
みなさんこんにちは。
今回は、廃棄される漁網から作られるかばんについてご紹介します。
世界でも話題になっており、このnoteでも紹介してきた海洋ごみを、どのように減らしていくかも大事です。
今回は、廃棄された海洋ごみをどのように世の中の役に立つか、ということに着目した記事を見つけましたのでご紹介します。
海洋ごみへの対策:ALLIANCE FOR THE BLUE
環境省の調査によると、日本の海岸に漂着している海洋プラスチックごみのうち、漁網・ロープといった漁業ごみが約30パーセントを占めると言います。 また、ブイやその他の漁具を含めると50パーセントを超えるそうです。
漁具・漁網は海洋ごみの中でも特に自然分解されにくく、600年以上も海の中を漂い続けると言われています。
日本財団は、2020年7月に海洋プラスチックごみ対策を目的に、「ALLIANCE FOR THE BLUE(アライアンス・フォー・ジ・ブルー)」を結成しました。
石油化学、素材・消費材・包装材メーカー、小売企業、リサイクル企業など、様々な業種の企業と、海洋ごみによる海への負荷を軽減するための商品開発・共同研究・社会実験に取り組んでいます。
廃棄漁網由来の再生原料を用いたかばんとは!?
2021年7月に開発されたかばんの発表会と展示会を開催しました。
日本財団は、世界中の科学者や研究団体とネットワークを組み、「海と日本PROJECT」の一環として海洋ごみ対策事業「CHANGE FOR THE BLUE」を推進するなどしています。
そして、兵庫県鞄工業組合の協力のもと、廃棄漁網からファッショナブルなかばんを製造しました。
兵庫県豊岡市を拠点とする地域ブランド「豊岡鞄」がかばんの製造をしました。
豊岡では学生かばんも多く作っているらしく、廃棄漁網を再生した生地で作ったスクールバックを学生に使って欲しい。
そうすれば、子どもの時からSDGsという言葉から、ものを大切にする習慣が付くのではと考案されたそうです。
かばんを開発する上でのこだわりとは!?
開発した際のこだわったポイントは、すべての工程におけるトレーサビリティ(透明性)だと言います。
かばんは、北海道厚岸町の有限会社山本漁網が収集した使用済み漁網を原料に、リファインバース株式会社が製造したナイロン用再生ペレット、住江織物株式会社が紡糸・織布、兵庫県豊岡市のかばん製造メーカーが様々な製品に仕上げています。
このかばんは山本漁業の協力無くして、完成しなかったと言います。
使用済み漁網の回収や洗浄は漁師さんにとって手間がかかります。
ただ交渉をする中で、「どうやって子どもたちに豊かな海を引き継ぐことができるか」と問いかけ、積極的に参加するようになったそうです。
また、目に見えない漁網に付いている不純物は取り除きにくいらしく、布地を織るには、横糸にペレットからできた糸、縦糸に色を付けたポリエステル繊維を使うらしく、不純物が残っていると布地が切れてしまうそうです。
ただ、苦労した結果、住江織物にはない商品ができて感激したそうです。
また、モリト株式会社の森さんは、ボタンなどのパーツなど、かばんに必要な資材を廃棄漁網を再生した素材で作れたのは大きな実績だと言います。
ただ、これからがスタートで、消費者の元に届いてこそ、持続可能なモデルになるとのことです。
実際に手に持って、普段から使うからこそ、持続可能な社会が作られますよね。
また、ものづくりには通常数年かかるのが普通なのに対して、このかばんはわずか半年で開発したと言います。
このかばんの開発には、漁業者と5社の連携によって生まれました。
それぞれの企業が今までにない、自社内での開発の枠を越え、それぞれの強みを活かした商品を作ったのはすごい実績だなと感じました。
こうした取り組みの中で生まれた商品が僕たちの手元に届き、また実際に触れて使うことで、どんな経緯で作り出されたのか、これからの地球や海の環境を考えるきっかけになると感じました。
まとめ
最近では地球に関する様々な問題がありますが、その中でも環境問題はこれからの未来の子どもたちにもつながる問題で、今ある資源や自然の豊かさを守っていくことにも繋がっていきます。
今、行動に移すことで、子どもたちにもその背中を見せることができる、そして活動する中で一緒に環境や今ある状況を考えるようになる。
地球に住んでいるみんなで考えて、行動できるようになるといいですよね。
それではまたどこかで。
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