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虐待サバイバー・プロジェクトチーム(第2回会議録)

日時 :7月22日(木)19:00~22:00(3時間)

方法:ZOOMにて

虐待サバイバー・プロジェクトチーム(第1回会議録)は以下より。

【参加者】

<支援者>
・内田信也・弁護士(日本弁護士連合会子どもの権利委員会/幹事・札幌弁護士会子どもの権利委員会/委員・NPO法人子どもシェルターレラピリカ/理事長・北海道子どもの虐待防止協会/副代表)
・冨田正美(ハーレーサンタCLUB NAGOYA 代表/母子生活支援施設「愛知昭和荘」荘長 兼(福)愛知県母子寡婦福祉連合会 理事/自立援助ホーム「のぞみ」設立メンバー 兼(一社)あいち子ども・若者支援センター 理事/(特非)陽和(ひより)副理事長/(特非)あいち・子どもNPOセンター 理事/(特非)いのちをバトンタッチする会 理事/(特非)全国こども福祉センター 理事/(一社)こども・女性ネット東海 理事/(一社)知多娘地域活性化プロジェクト 理事)
・杉江健二(一般社団法人 青少年養育支援センター陽氣会・代表理事)

和田秀樹・精神科医(国際医療福祉大学・赤坂心理学科・教授)。今回は参加となりませんでしたが、医学的見解を頂きたい時は、会議にご協力を頂くことになっております。

<当事者>

・高橋のぞみ(@新潟/子ども虐待被害当事者の社会参加推進団体「しんか」代表)
・カオルコ(@千葉/虐待サバイバー支援の署名活動に参加)
・菊池啓(@奈良/虐待サバイバー自助グループ『ならてぃぶ』代表)
・北野佳子(@京都/虐待サバイバー・市民活動センターで活動)
・吉野かぁこ(@愛媛/フリーライター/虐待サバイバーにも取材)
・羽馬千恵(@札幌/『わたし、虐待サバイバー』著者)

<マスコミ>・4社傍聴

【議事録】
議題① 虐待サバイバーのパレード実施について

(する・しない?/するとしたら、どのようなものにしたいか?)
<目的> 大人の虐待サバイバーの存在(虐待の後遺症の存在や重度さの社会的認知を上げる。精神科にももっと知ってもらう)や、現在、実施している署名活動の更なる周知、虐待やサバイバーを身近に感じてもらう等。
以降、今年度11月にパレード実施の前提で話が進む

<課題1>
何をどのように社会に訴えるか?
ネガティブな言葉を使うと、世間は、関わりたくないと思い去っていってしまう。ただしキラキラな当事者というより、傷つきながらも前向きに頑張っているというメッセージがいい。
毒親という言葉はキライ。「生き残ったぞ!」というニュアンスがよいのでは?

<課題2>
虐待サバイバーのみが前に出ると、虐待をしてしまった親側との対立が生じてしまう。後悔している親も多数いる。
<解決案①> 親側も参加できるようにして、親・子の立場が統合できるのが理想。
<解決案②> 親だけでなく、支援したい人、虐待サバイバーを応援したい人も広く参加できる「ボーダレス」なパレードがいいと思う。賛同した人が、みんなが参加できるといい。
➡①及び②は採用。

<課題3>
開催場所はどこにするか? この会議に参加している人は居住地がバラバラだけど・・・。
<解決案①> 全国同時多発で行う/全国一斉パレード。
➡採用

<課題4>
開催時期は?
<案①> 児童虐待防止推進月間の11月にあわせると、マスコミも取り上げやすいのでは/今年の開催。
 (準備期間が短くても、小さくはじめて大きく育てればいい)
➡採用

<課題5>
パレードで何をするのか?
<案①>「オレンジリボン」のイメージで、オレンジ色の風船を配る。
<案②> 〝サバイバーは十人十色”を表現する「虹色」の傘を持って歩く。顔出したくない人は顔も隠せるし。
<案③> サバイバーの後遺症などを啓発するリーフレットなどを配っては? 
<案④> のぼりや横断幕もあるといい。
➡ 要検討(レインボーはLGBTのイメージとかぶるのでは?という懸念もありつつ)

<その他>
① パレードにかかる費用をクラファンで集めては? 準備活動自体が啓発になるので→前向きに検討

議題② 虐待サバイバーの当事者コミュニティは必要か?また必要ならルール作りなど(揉めずに継続するための基本ルールは必要か?)

課題①
当事者は精神が不安定なので、どうしても揉めてしまう。
回復のらせん段階のどこに位置するかか?が人によって違う。下の段階はネガ、上の段階はポジ思考。なのでお互いがメンタル悪化してしまう。
解決案① 虐待サバイバーが安心していられる場所は必要だが、支援者が必ず近くにいることが必要。当事者のみだと、上下構造ができて、支配関係にもなりがち。
・被虐の子同志のコミュニケーションに関わっているが、コーディネーターがいないとトラブルになりがち。
➡ 方針として採用
グループの考え方について
・大きなグループを無理につくる必要はない。小さい集まりは実際いくつもある。
たとえば「パレード実行委員会」など、単発のプロジェクトでいいかも。
➡ 同意。目的それぞれの集まりで違っていい。

議題③ 大人の虐待サバイバーへの支援を求める署名活動について

課題①
子どもの被虐は支援されるのに、大人への支援者が現れない。
厚生労働省に2018年に病気として認められた「複雑性PTSD」の存在も世間にも精神科でもあまり知られていない。
解決案① 子どもは可愛いから共感を得やすい。大人の虐待サバイバーも「可愛い」要素を取り入れては? 芸能人サバイバーなどの巻き込み。

➡40代、50代の親世代や自分に自信のない人などが声を上げづらくなってしまうのでは?
・見た目もあるけど、虐待サバイバーと関わって苦労した人は、人間の心理として、もう関わりたくないとどうしても思ってしまう。
・「虐待サバイバーをケアするといい社会になる」というアプローチもあり。
 ➡虐待サバイバーのケアは、虐待の連鎖も防げる率が上がるし、働ける人も増える。当事者だけの「自分ごと」ではなく、「みんなごと」にしたほうが関心を持ってもらえる。
【結論】大人の虐待サバイバーへのケア・支援が、「今の社会への好影響」や「未来の子どもたちの幸せ」につながる・・・という方向でメッセージを発していくことで、大方合意。
解決案② 被虐の子は、普通の家庭の関わり方をしらない。コミュニケーションの仕方を学ぶ、その支援も大事。
➡考えとして全体的に同意

課題②
経済的問題の解決は急務
…カウンセリング料が保険対象外で、高額で受けられない、その結果いつまでも精神状態が改善しない。
解決案① プロジェクトの行動をまずは2つに絞って集中する
 ①現在、実施している署名活動 ②啓発として、パレードの2つに絞って今後は議論したい。
➡採用

解決案② イギリスでは虐待サバイバーと認められたら、40回無料でカウンセリングが受けられる。最初からカウンセリングの保険適用は難しいので、これは長期目標。短期目標として、対症療法だが、複数回のカウンセリング無料を国に訴えるのはあり。
➡大方合意
課題③
子ども時代に児相や社会的養護に保護されず、公的に発見されず、支援の網に引っかからないまま大人になった「ノーケア育ち」の人は大勢いる。それをどう社会に知ってもらい、潜在的児童虐待被害者も社会的養護と等しく公的支援を受けられるようにしていくか?
解決案① 厚労省が、潜在的児童虐待被害者の推定数を調査するべき。
 ➡認知や申告はなかなか難しいかもしれないが、やるべき。名古屋市に訴え中。
プレママ・プレパパ講座のあと、学べる環境もつくるべき
 短期と長期で計画を分けることが必要。

・虐待サバイバーだけに限定したPTSD治療の保険対象化に限定せず、PTSD患者全員が保険対象にしてもらうよう国に呼び掛けた方が通る可能性も?

パレードの活用
・問題の「可視化」として、やはりパレードは大事なのでは?
・自分が虐待サバイバーであることを言えない社会から、言える社会になるといい。
・虐待サバイバーの親の知恵の共有など、出会いの場にもなるといい。

・事前にクラウドファンディングで啓発の資金集め&クラファン自体がパレードの啓発にできないか?

・パレードの参加者は、当事者だけに限定せず、支援者、市民の賛同者、マスコミの方なども巻き込む。


まとめ
訴え方としては、「大人の私たちのためだけではなく、将来の子どもたちのため」と言われると世間は受け入れやすい。

【決定事項】
① パレードの実施
② 当事者だけでなく、支援者・賛同者・虐待してしまった親など、広く参加できるパレードとする
③ 今年11月~全国一斉パレードを目指す(始めは小規模からでもいい)
② PTSD治療支援への署名活動(引き続き継続)
・長期的な目標は、トラウマ治療を「保険治療対象」にすること。
・その前段階として、短期的には「40回(暫定)のカウンセリング無料券」

【その他の議題】虐待サバイバー(虐待の後遺症)をどのように第3者に証明するのか?

・虐待サバイバーは脳MRIで脳萎縮が認められる研究報告があるが、個人差が激しい(重度の虐待を受けた人でも脳萎縮が見られない人もいる)ので精神科医による診察(面接)でのDSMやICDの操作的診断基準による客観的な診断で「複雑性PTSD」と診断されれば「虐待の後遺症」とするべき。脳の萎縮の有無が大事なのではなく「生活障害」がでているかどうかが大事。
児童養護施設(社会的養護)への保護の有無で支援を線引きしないこと。保護からもれる人の方が多いため。

次回の「虐待サバイバー・プロジェクトチーム(第3回)」は8月を予定しています。ZOOMを用いて実施します。現在、Slackで、日々、協議もしております。次回は、第2回会議でまずやるべきことを2つに絞り、①虐待サバイバーのパレード実施、②トラウマ治療の署名活動(短期目標:40回程度のトラウマ治療の無料券、長期目標:トラウマ治療の保険対象化)の2つについて具体的に協議を進めていきます。

【マスコミの方へ】すでに第2回会議から、4社のマスコミの方が傍聴に入って頂き、今後の報道に向けてご協力を頂いております。他のマスコミの方で、虐待を受けて大人になった虐待サバイバーの「虐待の後遺症」の治療や、大人の虐待サバイバーが支援されることが、結果的に子ども達への支援につながる本プロジェクトを傍聴したいというメディアの方がいらっしゃいましたら、以下の羽馬千恵のメールアドレスまでご連絡下さい。Mail : chie.haba@gmail.com

トラウマ(PTSD)治療の保険対象化を厚生労働省に求める署名にご賛同ください。


虐待の被害当事者として、社会に虐待問題がなぜ起きるのか?また、大人になって虐待の後遺症(複雑性PTSD、解離性同一性障害、愛着障害など多数の精神障害)に苦しむ当事者が多い実態を世の中に啓発していきます!活動資金として、サポートして頂ければありがたいです!!