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あの頃noteがなくてよかった。


短い短いエッセイを書きました。日記のようなものです。


どんでん返ししか愛せない男

小説もドラマも映画も、あっと驚かされるどんでん返しのある作品を好む夫。ひっくり返れば返るほど爽快らしい。新しくスタートするドラマの話になった際、「今回の日曜劇場は見るの?」とたずねると、「見ないと思う。タイトル的にどんでん返しがなさそうだから」なんて言う。『海に眠るダイヤモンド』。いやいや、いかにも壮大な謎が隠された物語、どんでん返しも期待できそうなタイトルにわたしは感じる。「どんでん返しありそうだよ」「いやなさそうだよ」「あるって」「そうかなあ? じゃあTVerで見てみるよ」。どんでん返ししか愛せない男が、どんでん返しを信じてドラマを見る四半期が幕を開ける。


あの頃noteがなくてよかった

暗記系科目は、語呂合わせで乗り切るタイプの受験生だった。「いくやまいまいおやいかさかさか」これは、日本史の先生が教えてくれた歴代総理大臣を覚える語呂のはじめの部分で、当時は18歳の柔らかい頭で最新の総理大臣までだいたい覚えていたのだけれど、今となってはこの「いくやまいまいおやいかさかさか」という謎の呪文のようなフレーズと、最初の「い」は伊藤博文だよね、というあっさい知識だけを残して、見事に消えてしまった。新しい総理が誕生したということは、この語呂合わせもまた長くなるのかな、なんて思っていたら、noteでさっそく石破首相までを網羅した語呂合わせを紹介している記事を見つけた。わたしが受験生だった頃にもnoteがあればよかったのに。そうすればわたしはもっと効率よくたのしく勉強ができていたんじゃないか。いや、人に読まれることがうれしくて書くほうばっかりに熱中して成績が下がっていたかもしれない。noteがなくてよかった。わたしには、ガラケーで更新する、ごく一部の人にしか見られていないブログがちょうどよかった。


ウーバーイーツを頼むベストコンディション

なんだか朝になっても疲れが取れず、頭も体もへとへとのまま、これが30代の肉体、と思いながら朝食を食べていたとき、こういう疲労感を抱えた状態がウーバーイーツを使うベストなコンディションなのではないか、とひらめいた。コロナ禍のときに数回利用して、その後はなんだかんだ店まで食べに行ったり、買いに行ったりということが増え、そういえば先日ウーバーイーツから「お久しぶりですね」というメールが届いていたのだ。昼前にアプリを開いて、中華か?ハンバーグか?ピザか?と悩む。さまざまな選択肢にうきうきして、次第に心が元気になっていき、そうすると「お腹いっぱい注文しようと思うと2000円ほどかかり店に行くより割高だが、今のわたしはウーバーイーツに頼るほど疲れているのか?」という迷いが生まれてしまった。ウーバーイーツは、もっと疲れているときに、もっとくたくたになるまでがんばっているときに、使いたいような気がする。まだベストなコンディションではないかもしれない。疲労が足りない。わたしはアプリを閉じ、スーパーへ行き、3000円分の食材とお菓子を爆買いした。


おわり

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望月
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