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好きだった人の名前を検索した日。


短いエッセイをいくつか書きました!
日記のようなものです。
どれかひとつだけでもどうぞ。



45分後に起こしてほしい

夜、「お風呂まだ入ってないけど、めっちゃ眠いから、ちょっと仮眠するから45分経ったら起こして」と夫に頼まれたので、使命感をたぎらせてきっかり45分後に起こしに行ったけれど、なんだかむにゃむにゃ言っていて起きそうにない。少し時間を置いてもう一度起こそうと試みるが、むにゃむにゃむにゃむにゃ…。起こすことをあきらめたら、結局夫が起きたのは10時間後だった。夫は「昨日頼んでたのに、起こしてくれなかったでしょ!?」とぷりぷりしている。濡れ衣。そもそも、45分寝るときと10時間寝るときでは、入眠に対する姿勢というか気合いの入れ方というか、そういうものが全く違うように思うのだが、夫にとっては同じなのだろうか?45分寝るつもりで10時間一度も起きずに眠り続けることができる男。生物としての格の違いを見せつけられる。

好きだった人の名前を検索した日

バドミントン選手の桃田賢斗選手が日本代表を引退するというニュースを見て、学生時代に付き合っていた人の名前をネット検索してしまった30代女性がわたしである。彼は顔の雰囲気が桃田選手に似ていた。だから桃田選手がテレビに映るたび、試合で活躍するたび、懐かしいような甘酸っぱいようなほんのり申し訳ないような気持ちになり、「あの人は今どうしているのだろうか」と名前を検索してしまうのであった。彼が有名人に似ているからいけない。これは未練などによるものではまったくなく、ただの趣味である。しかも検索するたび、新しい情報が割と出てきたりするもんだから、なかなかやめられない。桃田選手が日本代表を引退するということで、わたしもこの趣味にひと区切りつけたい。だけど今の世の中、むかし好きだった人の名を検索したことがない人なんているんだろうか?

ひきこもるのもむずかしい

住んでいるマンションのエレベーターが新しくなることになり、一週間、階段生活を余儀なくされた。うちは5階。5階を階段で?無理無理。工事が始まる前は、「引きこもってやるんだから!外に出るもんか!ここで引きこもりフリーランス主婦の利点を最大限に活かしてやるんだから!」と意気込んでいたが、いざ工事がスタートすると、「散歩して外の空気吸いたいぃ…」「家は窮屈ぅ…」と、結局外に出なかった日は一日たりともなかった。ひきこもるという決意も、けっこう簡単に揺らぐ。し続ける、しないでい続けるということは、一見楽そうなことであってもむずかしいのだね。


文章と一緒じゃん

ひとりで暮らすようになった十数年前から、料理は我流で、至っておおざっぱにやってきた。レシピは見るが、きっちりそのやり方にならうのは面倒で、ちょっと工程を省略したり、「ちょっと酢を足しちゃおう~」なんて自分好みにアレンジしてしまうことが多かった。自分が満腹になればそれでいいと思ったし、夫も味にうるさくないから、それで特に困らなかった。困らなかったけど、上手くなったとも思えない。何を作っても及第点は取れるけど、すごくおいしい!とは言えないことが多い。だけどつい先日、義母の手料理を食べて、「すごくおいしい」と思った。味噌汁と、つくねと、おひたしと、サラダ。ありふれた家庭料理なのに、わたしのあとちょっと冴えない味と何かが違う…。そう思い、とりあえずレシピ本にある通りに作ってみることにした。めんどくさいけど、ちゃんと水気を切る。下茹でする。こまめに丁寧にアクを取る。勝手に味を付け足さない。これでまあ、見違えた。わたしの料理には、余計なものが残っていたかもしれない。足すんじゃなくて、引くこと。余計なものを落とすこと。なんだ文章と一緒じゃん、と思う。


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文章を書く中で「実はものすごく大事だと思っている」あるひとつのポイントを言葉にしてみました。さっそくたくさんのオススメや、うれしいコメントをありがとうございます。買ってくださった皆さんのnote生活がすこしでもたのしいものになりますように。


おわり

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