【読書感想文①:ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー】empathyって何?

<なぜ書くのか>

アウトプット能力のなさに絶望し、かつ仕事でもこの部分を乗り越えないと次のステージに行けないと痛感したため、まずは読書感想文を書いてみた。

<紹介書籍>

・ブレイディみかこ (著)

・2019年 本屋大賞 ノンフィクション本大賞 受賞作品

<概要>

・著者は、イギリス在住の日本人。イギリス白人男性の夫(ダンプの運転手。いわゆる白人階級労働者)、息子くんと三人で暮らしている。息子くんは、日本でいう中学校に進学。そんな息子くんの周囲で起こる出来事をエッセイ形式で描いている。

・内容は、イギリスの労働階級、宗教、人種に関わる、ちょっとシリアスな「多様性」という問題に対して、息子くんがどんなことを感じ、どんなふうに乗り越えていくか。

・息子くんの視点に、筆者も(そして読者も)はっとさせられ、そして考えさせられる、良著。鋭い息子くんの意見に対して、同じ人間として対等に議論をする著者がとても素敵でした。


<内容と感想(※以下ネタバレあり)>

【イギリスの労働階級格差】

まず驚いたのが、イギリス国内の”分断”の激しさである。(EU離脱vs残留、移民と英国人、貧富差、労働階級差、宗教差、人種差、、、)人種差がすくなければ人種差も少ない、(他国と比べれば比較的)貧富差も少ない、日本に住む日本人には、なかなか理解が難しいであろう光景が、そこには当たり前に存在していると知った。

例えば、労働階級の差。イギリスは、公立でも小・中学校を選択することができる。息子くんは、小学校のときは、父(=著者の夫)の一族が敬虔なクリスチャンであったことから、市の学校ランキング1位の公立カトリック校に通っていた。(なお、著者と夫は敬虔ではないとのこと)

そこはいわゆる、”裕福”な家庭が多く、”労働階級”も比較的上位の家庭が大半を占め、人種も様々、そんな学校だった。

・ところが、中学校は、数年前までランキング最下位を争っていた、(その中学校の様々な取り組みと奮闘により、入学時にはランキングが中位まであがっていた)”元底辺中学校”を選択する。
ちなみにそこの中学校についての、筆者の表現をそのまま引用すると

そこはもともと、「ホワイト・トラッシュ(白い屑)」というまことに失礼な差別用語で表現される白人労働者階級の子供たちが通う中学として知られていた。

なぜ息子くんがこの学校を選んだかは、大きな理由は仲のよいクラスメートがそこに進学すること、ランキングを上げるために様々な取り組みを行う学校の雰囲気を著者が気に入ったことを感じ取った、家から近かった、等々。

・この選択に父親は大反対。その理由が
 ①学校は白人だらけだから、いじめられる可能性が高い
 ②より優秀なカトリック校に入れる権利を放棄することが理解できない

というもの。

・ここで、②の理由について補足する。
前述のとおり、イギリスでは効率の小、中学校を自由に選択できる。そのため、公立校に関する様々な情報が公開され、学校ランキングが大手サイトで公開されている。当然、人気の高い学校には応募者が殺到する。
なお、定員を超えた場合は、校門から自宅までの距離によって優先順位がきまるため、就学年齢が近づくと引っ越す家庭も多い。
また人気校の周辺は住宅価格が高騰し、貧富のすみわけが進んで「ソーシャル・アパルトヘイト」という社会問題にもなっている。

・また、学校によっては宗教的な制限もあり、前述のカトリック校は、当然カトリックの洗礼を受けた家庭の児童が入学を許される。(わざわざ家族で改宗して子供を入学させる人たちもいるほど)

・そんな背景があるからこそ、息子くんのパパさんは、

「うちはたまたまカトリックで、ラッキーだったんだ。それなのに、その俺らのような労働者階級では滅多におめにかかれない特権をそんなに簡単に捨てるなんて、階級を上昇しようとするんじゃなくて、わざわざ自分から下っているようで俺は嫌だ」

といったことを伝えるのである。

・こういった”労働階級格差”、ひいては”貧富の格差”はいたるところで見られる。

・例えば市主催の水泳大会では、その地域の全校が参加している。使用するプールは6レーンにも関わらず、レースは公立校(6校)と私立校(3校)でわけられる。(5校、4校といった均等な分け方ではなく)

・理由は、実力差がありすぎてレースにならないため。私立校から出場している生徒は、富裕層の家庭で、習い事をする余裕があり、幼いころからトレーニングを重ねている生徒なのだ。(加えて、公立校のレースでも人気上位校と下位校の生徒の実力差も、同様の理由で差がみられる)

・そのため、表彰式は、ほぼ私立校の生徒が独占、たまに公立上位校が食い込む。(稀に下位校が入賞した際は、保護者含めた大歓声が起きる。単なる喜びだけではなく、階級に対するプライドも込められて)

・また、前述のように、貧富の格差は居住地にも如実に表れていて(「ソーシャル・アパルトヘイト」)、それが理由で学校でいじめられる生徒もいるのだ。


【empathy(エンパシー)と”誰かの靴を履くこと”】

・だからなのか、イギリスの公立学校では「シティズンシップ・エデュケーション」の導入が義務付けられている。

「シティズンシップ・エデュケーション」とは、直訳すると”政治教育”、”市民教育”だが、内容は「社会において充実した積極的な役割を果たす準備をするための知識とスキル、理解を生徒たちに提供すること」であり、「政治や社会の問題を批評的に探究し、エビデンスを見極め、ディベートし、根拠ある主張を行うためのスキルと知識を生徒たちに授ける授業」とされている。

・そこで、息子くんが「エンパシーとはなにか」というテストの回答について話す場面がある。

・このエンパシーが、恐らくこの本におけるもっとも重要なキーワードになっているのだが、訳すと「共感」、「感情移入」といった意味。

・これは「Sympathy」と何が違うのかという点が非常に重要で、(この違いは海外の教育現場では重点的に教わるポイントらしいが)、

 Sympathy:かわいそうな立場の人や問題を抱えた人、自分と似たような意見を持っているひとに抱く感情(=努力しなくても自然にできる)

 Empathy:自分がその人の立場だったらどうだろうと想像することによって誰かの感情や経験を分かち合う能力

・ちなみに、息子くんはこのテストで「自分で誰かの靴を履いてみること」と回答し、〇をもらっている。
(これは英語の定型表現で、「他人の立場に立ってみる」という意味)

・イギリスでは、様々なバックグラウンドを持つ人々が生活していて、その価値観は当然さまざまである。相手に放った何気ない一言が、相手を傷つけることもあるし、時には、(筆者のようなアジア系の人種に対する)明らかに悪意を持った言葉を浴びせかけられることもある。だからこそ、Empathyの能力はとても重要だというのはよく理解できた。

・なにより、こんな素敵な言葉があることを知らなかったのが少し恥ずかしかった。自分ができているかは別としてだが、この言葉はこれから忘れないように、自分に問いかけていきたい。


【多様性は、うんざりするほど大変、だけどいいこと】

・著者と息子くんの会話にこんなやりとりがある

「多様性っていいことなんでしょ?学校でそう教わったけど」
「うん」
「じゃあ、どうして多様性があるとややこしくなるの」
「多様性ってやつは物事をややこしくするし、喧嘩や衝突が絶えないし、そりゃないほうが楽よ」
「楽じゃないものが、どうしていいの?」
「楽ばっかりしてると、無知になるから。多様性は、うんざりするほど大変だし、めんどくさいけど、無知を減らすからいいことなんだと母ちゃんは思う」

・最近、仕事でも多様性が大事、って叫ばれているけど、もっと根源的な多様性について、私(たち)は考えたことがあっただろうかと、この言葉をみてふと思った。

・多分、日本ではEmpathyとは?みたいな教育はなされてこなかった。(所得も、人種も、宗教も、みんな大体同じだったから?)
だからなのか、それともそういう環境がそうさせたのか、あるいは日本のがいつ的な教育プログラムのせいなのか、(そして超個人的な意見ではあるが)、異なる価値観に対する拒絶感が大きい人が、日本人は多い気がする。自分も含めて。(外国で生まれ育った数少ない友人との比較なので、たまたまな可能性は十分ある)

・それがいい悪いという話ではないが、イギリスでは多様性に囲まれる中で、”うんざりするほど大変”な多様性に毎日さらされているのだろう。だからこそ、様々な変化への強度もあがるし、いろんな視点を持てるのかもしれない。

・だいぶ話がそれるが、日本でDxが全然すすまないのも、もしかしたらこういった多様性を受け入れる強度が、日本人は全体的に少ないからなのかな~とちょっと思ってしまった。異なる文化や行動様式を受け入れるのは、すっごいしんどいことなのは、とてもよくわかる。それでもそれを受け入れながら前に進める企業、人材って日本にはどのくらいいるのだろうか。(逆にそういう人たちのEmpathyすることが足りていないのかも??)

・いずれにしても、日本にいる限り、それこそ真逆くらいの価値観に出会うことはなかなか無いなかで、自分自身の無知を減らすためには、意識して異なる価値観に出会いに行かなければいけないと、この本を読んでふと思った。(それは、とてもとてもしんどいことだけど)

・これって、きっと仕事でも同じことがいえて、もっとアウトプットを増やしながら、相手の立場をEmpathyすることで、新たな価値を生み出すことにつながるんだと思ったし、それをしなければどんどん無知になっていくと感じた。


<読書感想文かいてみて>

・文章が支離滅裂で泣きそう。小学校のときのほうがまだまともに書けてた気がする。がっくし。。。

・自分のアウトプット力が自覚できた。とりあえず、こっから少しずつ鍛えていく。

・長いうえにわかりにくいから、まずは10冊目標、量は半分で端的に。

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