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憧れの人の好きな場所
以前勤めていた職場に、センスがよくて、いつも自分に似合うスタイルをしていた先輩がいた。
ある日、先輩とおしゃべりしていた時。お気に入りの美術館の話しになった。「ハラミュージアムアーク」そこが、彼の一番好きな美術館なのだと。
ハラミュージアムアークは磯崎新さんの建築で、アートプラザのファンである自分にとっては、いつか必ず行きたい場所になった。
それからしばらくして、その職場は退職した。先輩とも疎遠になってしまって、ここ数年は連絡もとっていない。
その後勤めた職場では、トラベルガイドを出版していた。ちょうど、群馬県のガイド本を出版することになり、編集部で働く同僚のプライベート群馬旅に少しだけ同行させてもらうことになった。「どこに行きたい?」と聞かれた私は「ハラミュージアムアークだけは行きたい!」とリクエスト。大方のプランは同僚が計画してくれて、私はそれに乗っかる形で便乗させてもらった。
いろいろと詰め込み過ぎて、美術館に向かうバスの中で、栄寿亭(えいじゅてい)のカツをお昼ご飯に食べた。とんでもなく美味しくて、近所にあるなら週4で通ってしまうレベルだと思う。
カツを食べ進めているうちに、美術館近くのバス停に到着。そこからさらに歩くと、ハラミュージアムアークの黒い建物が見えてきた。
そこは、自然が主役のような美術館だった。美術館に来たという感覚にはならなくて、それがとても不思議な感覚だった。訪れたのは11月中旬。山の上はかなり寒かった。きっと、季節ごとに空気感も違って、どの季節にもそれぞれの良さがあるんだろう。
次はいつ行けるかはまだ分からないけど、また必ず行きたい場所だ。