PDCAを”逆回転”させよ
Greg Mathieson Project - I don't Know
社会で昔から使われているフレームワーク『PDCA』は、
Plan(計画)
Do(実行)
Check(評価)
Action(改善)
のことです。
”計画が先”にあり、そのあと行動していく中で”計画に合う”ように改善していく手法ですね。製品の生産工場などで決まりきったことをやる場合には絶大な効果を発揮します。戦後の日本はPDCAにより復興することができたと言ってもいいかもしれません。
しかし、実はPDCAには『欠点』があります。それは、生産する対象が"製品"であり、”計画”が先にあることです。製品と計画。この2つは日本の復興においては『長所』でしたが、現代では『短所』として作用しています。
「なぜ、短所となってしまったのか?」
これを考えるとき、製品と計画の『対義』から見てみると判りやすいかもしれません。
製品の対義とはなんでしょう?
先ず、製品は人が『意図して作るもの』ですね。作るモノが人にとって必要だったり便利だったりするのであれば、誰もが欲しがるモノになります。では、『意図しないで作るもの』を考えれば製品の対義になりそうです。
一番身近でそれが判るのは”赤ちゃん”ではないでしょうか。もちろん、計画的に考えている人もいるでしょうし、「こんな大人になってほしい」との願いから、子どもの頃から英才教育などを施す方もいるでしょう。とはいえ、完全に意図して操作することは今でも難しいと思います。
製品 ←対義→ 人間
と、しましょう。
次に、計画の対義とはなんでしょうか? 計画とは”頭の中”で考えたことです。様々なデータを集め、統合し、最適もしくは最善の道を示すものですので、『意図して作るもの』でもあります。それなら、反対の『意図しないで〜』になりますが、ここでは『頭で考えない』と言い換えることもできます。頭で考えないなら、残された道は1つしかありません。『身体で行動する』です。
計画 ←対義→ 行動
と、なります。まとめてみると、
【阿 ←対義→ 吽】
製品 ←対義→ 人間
計画 ←対義→ 行動
このように『阿吽』として表記するのもいいですね。阿吽の関係を表すものは、たとえば「プラトンとアリストテレス」「風神と雷神」「太陽と月」「花と昆虫」などがあります。
先述のように、PDCAは『製品と計画』においてのみ、その効果を発揮します。ということは、阿吽でいうなら『阿』側しか効果が得られないのですよ。これではバランスが悪いですね。天秤の片方に傾きすぎていて、とてもつり合っているとは言えません。
であれば、『人間と行動』において効果を発揮するものを考えれば、天秤の傾きの差を少なくできそうですね。
そこで表題の『PDCAの逆回転』なのです。逆回転と言っていますので、ACDPでやればいいと思うかもしれませんが、そうではありません。なぜなら、”対象が違う”からです。PDCAは「製品と計画を対象にしたらこうなる」ということですので、対象が対義になったからといってそのまま逆にしても意味がないのです。もし、そのまま逆にすると最初に”改善”がきます。何もしていないのに一体何を改善するというのか? ってことになりますから。PDCAでは『計画が先』にきますので、計画の対義である”行動”から始めます。
『行動が先』であり、且つ、『人間』を対象としたものを考えて思いついたのが次の”4つのA”です。
1. 行動(Action)
2. 結果(Answer)
3. 分析(Analysis)
4. 適合(Adapt)
『1. 行動』が最初ですから、「ごちゃごちゃ考えてないでとにかくやってみよう!」ってことですね。次に、行動した後の『2. 結果』、すなわち”答え”を得ます。
行動する前の答え = 計画
行動した後の答え = 結果
ということです。
それから、得られた答えを『3. 分析』 します。何が良くて何が悪かったのか、原因と結果はどう結びついているのか、他の原因はないか他の結果はないか、得られた答えは満足いくものか…などです。
最後に分析した改善案を、最適もしくは最善の行動に『4. 適合』させます。行動で変えられることはないか、変えるのが難しいなら目指す方向を変えることはできるか…などです。
そして、最初に戻って『1. 行動』します。
1. 行動→2. 結果→3. 分析→4. 適合→1. 行動→2. 結果→3.…
ですね。
PDCAサイクルやOODAループなどの名称に倣って、【Spiral 4A】とでもつけましょうか。読み方は「スパイラル・フォー・エー」です。
スパイラルは”螺旋”という意味がありますので、同じところをぐるぐる回るわけではなく、少しづつ『進んでいく』との意味を込めることもできますね。モノとは違い、人間は必ず”成長”しますからちょうど良いかもしれません。
【阿 ←対義→ 吽】
製品 ←対義→ 人間
計画 ←対義→ 行動
PDCAサイクル ←対義→ Spiral 4A
「なぜ、PDCAサイクルがダメになったのか?」
上記のように言われることがありますが、別に”PDCAサイクルがダメ”ってわけではないんですよね。現に、今でも生産工場などでは使われています。では、なぜダメと言われるようになったかというと、単に『人間と行動』に当て嵌めようとしているからです。
PDCAサイクルが生きるのは、対象が『製品と計画』の場合だけです。それなのに対義(=真逆)である『人間と行動』に当て嵌めても生きるわけがないのです。
製品は製品であり、人間ではない。
計画は計画であり、行動ではない。
さらに、計画を言い換えるなら『理論』、行動を言い換えるなら『経験』となります。理論と経験。この2つは”出発点が真逆”になっています。
理論 = 頭脳で考えること
経験 = 身体で感じること
とも言えます。
この2つは人間にとってどちらも必要なものです。どちらが欠けても”人間”とは言えません。
考えない = 機械
感じない = 機械
どちらも『機械』になってしまうのですよ。ここで「AIはどうなんだろ」と思う方もいるでしょう。確かに凄まじい進歩を遂げていますが、現代のAIに決定的に欠けていることは自分の身体を持っていないことです。
進歩を遂げているのは”頭脳”であり”身体”ではありません。頭脳の面では、確かにある一面において人間を超えている部分、たとえば『計算速度』などがありますが、”身体”に関してはまだまだ未発達ですね。現在、開発されている二足歩行ロボットの走る速度は、人類最速のウサイン・ボルトには遠く及びません。ロボットの100m走最速記録は24秒ほどになります。”小学1年生の少し遅い子”くらいの速度です。
AI は『身体は成長していない、頭脳だけ進化した子ども』と言えますね。
さて、AI ではまだまだ時間がかかりそうですが、『人間と機械』の2つの組み合わせを使えば今でも”AI以上の成果”を上げることができます。単純に「車の運転」「飛行機の操縦」「PCソフトの操作」などです。
AI が出す答えは、あくまで『身体が無い状態での答え』です。つまり、物理的限界を超えた答え = 光の速度を超えた答え と言ってもいいでしょう。ここで、勘の良い方は気づいたと思います。
そうです。
1つ、『矛盾』がありますね。
その矛盾とは、人間は身体を持っているので、光の速度を超えることはあり得ませんが、”答え”だけなら光の速度を超えているという矛盾です。実際、”理論上”で見つかった『タキオン』と呼ばれるものは光速を超えています。
是か否か。
そんな狭い世界では、”人間”は生きられません。どちらか一方しか認めないよりも、どちらも認める世界の方が”人間”にとって、生きやすい世界になるのではないでしょうか。
「スパイラル・ハリケーン・パンチ!!!🌪」
懐かしいですね〜…
世界では『速度アップ』を求めてきました。より速く仕事ができるように様々なものを発明・改良してきましたね。その目的は、人間のための時間を長く取るためでした。仕事に使う機材や乗り物が速くなればその分仕事が速く終わるので、自分のために使う時間が多くなりますから。
ただ、なぜか現実はこうはなっていません。人間が”自分の時間”を得るために機械の速度を速くしたのに、なぜか、速くなった機械に合わせるかのように、人間もどんどん速くすることを強いられています。
若い世代では「ファスト教養」や「早送りビデオ講義」など、とにかく短時間でなんでも済ませるようです。そこまで効率化しないといけないほど”時間がない”と捉えることもできますね。
これでは『本末転倒』です。発明や改良の意味がありません。
コロナもあって、世界は強制的に”ペースダウン”しました。ということは”時間が空いた”とも言えると思います。この”空いた時間”には、本来、何を入れるべきだったのか。
振り返ってみることも大事ですよ。
それではこの辺で。
エンディングはこちら〜🎵🍃🌸🌟🌈
Van Halen - Why Can't This Be Love
*参考書籍*
・魁!! 男塾
*参考記事*
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