スキーしに行った短歌連作(2024年、晩冬)―揺川たまき
スキー・スノボウェアのフロアに降り立てばそれぞれの羽でみな嬉しそう
人差し指、ひとより長いのかな、たぶん。手袋いくつもいくつも試す
試着室のカーテンゆれる 雪山を頭にえがく必要がある
トンネルを出れば光で 天然水のラベルみたいな山あらわれる
ゲレンデ横のラーメン・カレーののぼり旗 非日常をしてくれて、ありがと
斜面にてむりやり止まればななめってしまう遠くの白い山脈
ウェア、ゴーグル、帽子できみは膨らんで こわいな 見失っちゃいそうで
世界って実はメインは夜なのかもゲレンデ営業時間短し
大はしゃぎでベッドの場所を選びおりこういうじゃんけんをずっとしようよ
大鷲の背に乗るような眠りへと落ちるスキーの帰りのバスは
※この連作は、2024年3月にネットプリントで配信したものです。