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フラット目のチームでピアレビューを効果的に行う方法

経験や知識や立場が、ある程度フラットなチームにおいて、アウトプット(社内資料、企画書、研修教材ほか)をレビューし合うにあたり、僕が実際に陥ってしまった失敗と、避けるための仮説をを備忘録として残します。

責任の所在がないアウトプットができるまで

メンバーの誰かが、他のメンバー全員に対して「レビューお願いします」と投げられたシチュエーションにおいて、3つの難しさから責任の所在のないアウトプットが出来上がってしまうことがあります。

1.レビュワー同士の意思疎通の難しさ

レビュワーが複数人であることが原因で、レビューの観点や基準が不明瞭なままレビューが始まってしまいます。Aさんは〇〇が気になると言っている一方で、Bさんは問題ないと言っている、みたいなシチュエーション。
レビュワー同士が事前に意思疎通を図りすり合わせを行っておけばよいが、現実的にはその工数はかなりもったいないので、それぞれが別々の物差しでレビューを行うことになります。

2.レビュー内容の合意形成の難しさ

そもそもレビューに合意形成は要らないはずなのですが、ミーティングで何となく喋りながら修正作業をしていると、見解の相違が生じます。さらに、レビュワー同士がやり合うと、作成者は口を挟みづらくなります。
微妙な衝突と譲り合いを起こしながら、アウトプットが作成者の手元から離れていきます。

3.作成者の決断の難しさ

最終的に、作成者がエースストライカーである意識を持って、レビューを受けた内容をふまえて決断すればよいのです。が、その場でレビューを受け取って無碍にするわけにもいかず、自分としてもどれが正しいのかわからなくなり、混乱に陥ってしまいます。
結果、言われたとおりに直しました、的な仕事のやり方になってしまい、アウトプットの責任の所在は、作成者の手元を完全に離れます。

前提としてやめたほうがよいこと

上記を乗り越える方法を考える前に、前提としてやめた方がよいことが2点あります。これは仮説というより確信に近いので切り出しました。

レビューと作業を同時に行うこと

レビューを受け取ることと、判断することを同時に行うのは非常に困難です。レビューを受ける時間と、実際にそれをふまえて修正する時間は別々にしておいた方が無難でしょう。

多様な視点を取り入れようとすること

ダイバーシティ文脈では当たり前のことですが、多様性が高まるほど一義的にはクオリティが下がります。Jリーガーの中に一人だけプロ野球選手が入ったところで、サッカーチームの戦力が高まらないのは自明です。
レビューを受けるということは、質を上げることに他ならないので、本来は多様な視点は不要だと考えるべき。求めているのが質ではなく、自分にはないアイディアや、その人なりの視点(世代、性差、専門性など)を欲する場合にのみ、多様な視点が有効でしょう。

避けるための仮説

あくまで仮説。これから自チームで検証していきたいです。

誰にレビューしてもらうか決める(順番を決める)

たとえフラット目のチームだとしても、メンバーへ一律にレビューを依頼するのは避けた方がよいかもしれません。理想は、アウトプットの特性に応じたり、その時のリソースに応じたりして、都度個別に依頼すること。しかし、それだとフラットなチームの特性が出せないので、せめて順番を決めて1人ずつレビューをもらうような、ノックアウト方式が現実的かもしれません。これはまだ試してないので検証したい。

レビュワーは Nice to have なコメントをしない

質を上げるという観点において、レビュワーは本質的なフィードバックを行う責任があります。学術界には査読という仕組みがあり、レビュワーの氏名も掲載されることで責任を担保しているのでしょう。
個人的な好みやなんとなくでコメントしてしまうと、混乱を招くばかりでなく、他のレビュワーを変に牽制したり譲り合いの元になってしまいます。
「あったらいいな」的なコメントを避けるのはレビュワーとしての最低限のマナーと言えるかもしれません。

レビュワーとしての戦力を高める

レビュワーの観点や基準の違いが、今回問題提起したことの根本にあります。そのため、そのレベル感をチームで共有し、誰がレビューしても同水準のフィードバックを得られるような、レビュワーチームとしての戦力を整えておくべきと考えます。
仕組み化するならチェックリストなどもあっても良いと思いますが、本質的には、一定レベルの論理的思考力、資料化スキルをレビュワー陣が有している状態が望ましいでしょう。


今回の問題意識は、前職におけるレビュワー陣が、とんでもないクオリティをもった人達だった原体験が元になっています。圧倒的にロジカルで正しさをもったフィードバックを受けられる環境というのが、如何に貴重だったかを思い知りました。
成果の質を高めるために、チームの質を高めていけるよう、まだまだ考えることはたくさんあるなと。色々偉そうに書きましたが、自分のチームもクリアできていない課題なので、どんどん仮説検証していきたいと思います。

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