都SCの一斉解雇について思うところ
個人的に衝撃的なニュースが飛び込んできました。
詳細はリンク先を読んでいただければと思います。
記事をぎゅっと要約すると、発端は以下の通りです。
安定しているとはいいがたい心理職の雇用状況
「心理職」というくくりは、今回は私のルーツでもある臨床心理士とさせていただきます(都SCの応募資格は臨床心理士のほかに、「公認心理師」「精神科医」「児童・生徒の臨床心理に関して高度に専門的な知識および経験を有する者」が含まれます)。
このnoteを立ち上げた経緯として避けられない話題であった心理職の雇用状況。私が学生だった頃より向上しているのかと聞かれても、今回のようなニュースを耳にすると首をかしげるばかりです。
そもそも「正規職員」になるために常に椅子取りゲーム(もはや合戦ですが)を繰り広げる心理職。特に経験も何かしらのコネクションもない新卒が、正規職員の座を勝ち取るのは非常に厳しいのです。
「試験に合格すればいい、面接に通過すればいいだけの話」といえばそれまでですが、心理職になるための時間とお金と労力に伴う結果をすぐに得られた!方というはごく一部と言っていいでしょう。
そんな中、SCという業種は心理職、特に新卒や若手にとって非常にありがたい業種だといえるのです。
単価が高い
勤務地や勤務日の希望が出せる
経歴と知識があれば新卒でも採用されやすい
副業ができる
だいたいこのような理由が挙げられるでしょうか。
雇用状況だけみると、院卒のアルバイターといっても過言ではないかもしれません。もちろん、好条件であるということはそれに伴う責任もあるわけで、楽だからと選べる業務内容ではありませんが。
心理職は人間が存在している以上なくてはならない職業だと思っています。いかなる領域にも進出できる強みがありますので、司法・行政・教育・産業・医療・福祉等々、活動領域は多岐にわたるのです。
ですが、新卒・若手・非正規雇用の就職先として多いのは、SC以外では病院やクリニック。いずれの場合も報酬の差は歴然です。
私が新卒だった当時もSCとクリニックのカウンセラー(受付・インテーク・検査業務含む)の組み合わせが多かったように記憶していますが、
「ゆくゆくはこんな領域で正規職員として働きたい!」
という夢を持ちつつ、夢でご飯は食べられないので「まずはスクールカウンセラーで修業します!」といった若手は少なくありません。
身の上話は長くなりそうなのでぜひこちらで・・・
「公募によらない再任用」ということばの曖昧さ
よくよく都SCの要項を読めば、
「あなたたちは1年更新の非正規雇用です」
「場合によって4回目までは更新するけど5回目以降はないですからね!」
と書いてあることはあるのですが、慣例的とはいえ長きにわたりご尽力されていらした先生方が、「ハイ、来期は任用しません(不採用です)」と言われて納得いかないのは当たり前のことでしょう。
中には学校の管理職の先生方が「今SCに辞められては困る!」と教育委員会に問い合わせた例もあるとか。
自治体によっては「再任用は2回まで」とより短い設定のところもあるようですが、勤続はリセットされるものの、「1年目」という形で再任用する場合が多いとのことです。そのため、今回のように大量に雇止めになるケースは異例だという声があがっています。
なにより、再任用というシステムがある以上、更新されない理由付けは必須だと感じるのですが、今回「なぜ不採用になったかの説明は一切ない」ところに憤りを感じました。長きにわたり必要とされてきた先生方に対する処遇としては、最悪のものではないでしょうか?
先にもお伝えしました「心理職ユニオン」という労働組合が2024年2月2日に記者会見を開き、今回の一連の騒動を公開しました。実態調査の結果等も公開されていますので、そちらもぜひご覧ください。
しわ寄せはSCを必要とする子どもたちに
対人援助職である心理職は、そこに在ればいい、居ればいい、というものではありません。どんなに高名な専門家でも、対面したクライエントさんと相性が合わなければカウンセリングは継続できないものです。
SCは家族でも先生でも友達でもない存在として、子どもたちの前で専門性を発揮し続ける義務があります。一長一短で関係性を築き上げていくことは不可能です。
もちろん、ずっとそのままであり続けることの難しさも同時に存在するので、どこかのタイミングで終わりや別れは訪れるものです。ただ、多くの場合は終結に向けて準備を整えていきます。
今回の雇止めも、大きな枠組みでとらえると社会の日常として珍しいことではないかもしれません。しかしその役割が与える影響を考えると、最終的に支援する対象である子どもたちになんらかのしわよせがくるのではないかと懸念されるところです。
東京都教育委員会の今後の動向は気になるところですが、SCを必要としてきた子どもたちの今後はどうなるのでしょうか?
これからの心理職としてのあり方
一連の記事に目を通した後、「雇われの身である以上、理不尽なことは起こりうるんだ」と憤りを感じる気持ちと、どこか冷静に俯瞰している自分がいました。
正規職員として会社に身を置きつつ複業カウンセラーとして働き始めたのは、「常にわくわくしていたい」「好きなことを形にしてたい」「仕事を自分の裁量で選択したい」という思いからです。
非正規雇用はその名の通り社会的保障が充実しているとは言えません。だからといって超大手、ホワイト企業、正規職員が幸せを保障するわけでもありません。
今回のニュースを受け、どうあっても自分が納得できるような環境に身を置くことや、自分で生み出す力の大切さを痛感しました・・・。
それが複業という形ではなかったとしても、人生において常に主体性を持っていきたいですね。
久しぶりに「一大事件だ!」と思いnoteを上げたので、続報を気にしつつ加筆修正していくかもしれません。
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