
わたしの好きな詩 ──心に静かに染み渡ります [第11回]

夜ふけの笛
夜ふけの町で
だれかが笛を吹いています
あれは
するどい月の光に目をさました
むかしむかしの魔術師です
一生かけて
ひとのたましいをうばってしまう
曲をひとつ
ならいおわった日に死んだ
魔術師がよみがえって
笛を吹いているのです
ドアをあけてはいけません
笛の音につられて行ってはいけません
あの曲についていった人は
ひとりのこらず
ふかいふかい海の底へ
つれて行かれてしまうでしょう
立原えりか
*安房直子さんの童話も、淡いメルヘン、ファンタジーで、
この立原えりかさんの詩の雰囲気のようなものもあります。
私にとって、詩は心のビタミンCです。