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わたしの好きな詩 ──心に静かに染み渡ります [第8回]
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風のむすめ
純白の長いコートを着て
ガラスの靴をはいて
五月の町を走りぬけていったのは
人間のむすめではありません
あんなに軽く
あんなに早く
通りすぎることができるのは
むすめに姿を変えた風なのです
咲きたてのバラで作った香水を
町中にふりまいて
木の葉たちをうらがえしにして
風のむすめは
森に棲むともだちに
電話をかけに行くところです
野原にいる子供たちは
蝶々をつかまえようと
ふりまわした網に
コートとガラスの靴だけが
入っているのをみつけて
きっとびっくりするでしょう
立原えりか
*メルヘンというかファンタジーというか、
立原さんは童話も書いていました。
何冊か持っていたのですが、
たびたび引っ越ししているあいだに
みんななくしてしまいました。
今頃になって後悔しています。