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この絵はこの詩から生まれました ──詩の世界をアートに [第61回]
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山行 さんこう
遠上寒山石径斜 遠く寒山にのぼれば 石径斜めなり
白雲生処有人家 白雲生じるところ 人家あり
停車坐愛楓林晩 車をとどめて そぞろに愛す 楓林のくれ
霜葉紅於二月花 霜葉は 二月の花よりも紅なり
杜牧
山歩き
ひとけのない山に登れば 石ころの坂道が続く
白雲の湧くあたりに 人家が見えた
車をとめて 楓の林を眺める たそがれ時
霜でいっそう色づいた紅葉は 春の花よりも赤く見える
*この漢詩も教科書に載ってそうな有名な詩です。
ちょっと季節がずれてしまいましたが、晩秋の景色です。
白雲のモチーフ、だいぶ描きなれてきました。
白雲には、俗気を離れた仙境という意味があるそうなので、
隠者のすむ家は、画面上の隅にちいさく配置しました。
詩の時間帯は晩ですが、この絵ではもうちょっと手前の、
まだ明るい午后あたりの感じにしています。