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残念な岸田総理の退任
岸田首相が、自民党総裁選に立候補しないことを表明した。
事実上の退任表明である。
岸田首相の能力はかなり高い。
為政者として、十分に優秀といえる水準だ。
増税以外、何もやってないじゃないかと思うかもしれない。
だが、”何もやっていないように見える” ことが、岸田首相の能力の高さを示している。
岸田首相が登場した2021年において、日本はすでに、詰んでいた。
人口構造はゆがみ、技術力は低下し、30年にわたる長期不況により、国力が転げ落ちている状態だった。
このような衰退環境で、まともな指導者がとれる策は、ひとつだけ。
衰退のスピードをできる限り遅らせることだ。
(衰退スピードを速めて、破滅~再生を迅速にやる方法もあるが、それは創造と破壊のプロセスであり、人が大勢死ぬ。)
岸田首相は、衰退のスピードを遅らせ、破滅を少しでも先に延ばすという点において、きわめて優秀であった。
岸田首相は、増税メガネと揶揄されていたが、高齢者福祉を抜本的に削減できない以上は、増税は絶対に必要なことだ。
特に、国内外の投資家に対して、日本はまだ財政再建に ”白旗” を上げてないですよとPRする点で、たとえ(債務に対して)わずかな増税だとしても、実施する必要があった。
岸田首相は、破滅を少しでも先送りにするために、増税を繰り返したのである。
また、インフレについても、なぜか岸田首相が批判されているが、インフレの原因は、2013年からデフレを何とかするために、10年近く実施された異次元の金融緩和と、国内産業の競争力低下による円安なのだから、首相がどうこうできる問題ではない。
岸田首相には、派手な成果はない。
だがしかし、大きな失敗もないのである。
日本は、衰退の崖を転げ落ちている状態であり、”何も起きない”というのは、素晴らしいことだ。
岸田首相のような、一見凡庸にみえて、その実きわめて優秀な人間を退任させてしまうところに、日本のオワコンぶりを見てしまう。
次の首相が、岸田首相ほど優秀である保証はない。
裏金のようなどうでもいい些末な問題で、岸田首相を失った日本国民に同情する。
次の首相は誰であれ、岸田首相ほど ”平穏” に政権運営をすることはできないだろう。何かしらの”悪いできごと”が必ず起こるはずだ。
何か起こるたびに首相が次々と交代する迷走の時代にはいると予想する。
(そして、日本国の衰退は、加速する)
例えるなら、日本は、手の施しようがないくらいの末期がんであった。
優秀な医師が、末期がん患者にたいして、下手に手術をしようせず最低限の抗がん剤(増税)だけで、なるべく症状の悪化を起こさないような延命治療をしたとしよう。
医師が派手な開腹手術をしないからといって、患者がいきなり元気にならないからといって、この医師が無能ということにはならない。
この医師は、患者の延命の観点から、最善の方法をとったのであって、患者が元気にならないことを理由に、医師を責めるのはお門違いだ。
もっとも、人間は死んだら終わりだが、国家は死んでも生まれ変わることができる。無茶苦茶な開腹手術をして、いっぺん死んでもらったほうがよい、との意見もあるだろう。
ただし、死んだあとすぐにキレイに復活できるとは限らない点に注意すべきだ。最悪の場合、ゾンビのような失敗国家として、ソマリアや、ジンバブエの仲間になる可能性もある。