見出し画像

男性も知っておきたい『不妊治療と仕事の両立』

妊活しながら仕事は続けられる?


妊活・不妊治療は、女性の負担が大きい。肉体的、精神的なものだけでなく
仕事との両立も男性よりも負担が圧倒的に大きい。だからこそ男性も現状を知っておきたいし、当事者でなくても、職場の女性が妊活をするときに、知っておくと職場のコミュニケーションも円滑になる。

※今回こちらのnoteは私が編集委員を務める妊活WEBマガジン「こうのとりストーリー」で好評だったものを一部加筆、修正したものを参考になればと思い、再掲載しました。(取材は2018年)


まだまだ十分に理解が得られているとはいえない「妊活(不妊治療)」。今、サポートする取り組みも増えつつあります。

ただ、ゴールが見えづらい不妊治療をする女性にとっては、

「会社に迷惑をかけてしまう」
「周りに治療を告白するのが不安」
「仕事を休まなくては」

という心配から

「退職する?」「治療をあきらめる」

の2つの選択肢しかないように思えてしまう事もあります。

本当にどちらかを選択するしかないのでしょうか?

不妊治療をとりまく状況は少しずつ変化しています。

「子どもを授かりたい」と願う女性やパートナーにとって、どのような選択肢があるのか、データや専門家の話から、明るい未来への扉を探っていきましょう。

データで見る妊活と仕事の両立.


治療を職場に伝える人は増えている


※出典:「不妊治療を受ける働く女性のあり方」(澤田ら.看護管理39/2008)/「蔵本ウイメンズクリニック」(Murakami.et.al2016)

治療への協力を得るために職場に「報告しているか」どうかについての調査では2008年より2016年の方が増えてきています。

伝えていない方の中には、

「今後も治療が続くなら伝える」
「迷っている」
「できれば伝えたい」

という思いがある方も多いようです。

報告しにくい理由はこんなこと

「治療に対する理解が無い」
「話した後の周囲の目が気になる」
「結果を報告するのが苦痛」
「男性上司に話にくい」

伝えて良かったという人は8割以上

勇気を出して職場に「伝えた結果」は最も気になるところですが、アンケートによれば「話してよかった」が8割以上になっています。

伝えた相手は「女性の上司や同僚」「男性上司」が主で、その後男性上司が一番の協力者になってくれるケースも出ているようです。

ちなみに、2008年には、「男性上司に話すのに抵抗がある」と答えた方が8割近かったのですが、2016年にはかなり変化しています。

話して良かったと思う事は?

勤務の調整をしやすい
体調を考慮してもらえる
通院の罪悪感が減る
快く応援してくれた

両立のカギは?

「働き方を変えた方」への調査では、治療が3年を超えた時に退職を選択する女性が増えているそうです。

治療の長期化は体力的にも精神的にも両立が辛くなるという背景があります。

仕事と治療の両立3つのポイント

ご紹介したデータは、主に2008年と2016年に実施された調査によるものです。

この8年間でも、不妊治療を取り巻く環境は変化している印象を受けます。

この変化を踏まえると「仕事と治療の両立」を考えうえでいくつかのポイントが見えてきます。

Point1. 相談の一歩を踏み出す

職場での理解も少しずつ変化してきています。男性上司でも身近に不妊治療の経験者がいるなど、協力的な男性も増えつつあるようです。まずは話しやすい相手に相談してみましょう。

Point2. 企業・行政の支援策を調べる

厚生労働省などによる企業への啓発施策もはじまり、企業ごとに
「不妊治療のサポート」も広がりつつあります。

役立てられる支援策を一度リサーチしてみてください。

クリニックやお住まいの市町村・県に質問してみることからはじめてみてもいいかもしれません。

Point3. 医師と治療プランを立てる

調査によれば、「治療を断念する」「治療のために退職する」のは、治療が3年を超えると多くなっています。

治療期間や年齢によって治療の段階を見直すなど、担当医師と相談しながら長期化しない治療プランを立てることも大切です。

専門家に聞いた両立のヒント

「みんなどうやって不妊治療と両立しているの?」クリニックで多くの働く女性と向き合ってきた、蔵本ウイメンズクリニック看護師長の村上貴美子さんにお話をお伺いしました。




妊活の悩みも変化してきています。

「卵を体の外に出して大丈夫?」「体や子どもへのダメージは?」

そんな質問が多かった1995年頃の不妊治療への不安は、20年以上を経て、

「治療のスケジュールは?」
「仕事をしながら治療できるの?」
と質問内容も変化してきています。

その背景として、高度生殖医療を受けられる方が200人に1人だった20年前に比べ現在では19人に1人と約10倍に増えている現状があると考えらえます。

1学級に1人か2人は高度生殖医療によって授かった子どもがいるという現状です。

結婚しても女性が仕事を続けるのが一般的になってきた今、不妊治療をしながら働く女性がほとんどです。

だからこそ、「不妊治療と仕事の両立」の悩みが増えてきているのです。

パートナー・職場・行政相談で解決することも。

「1人で抱え込まないでほしい」。

私が治療の現場にいていつも感じている事です。

「両立」には、周りの協力がどうしても必要になります。

特に職場に協力してくれる雰囲気があるかどうかは、非常に多きな要素となります。

「周りの目が気になって」
「どうしても言いにくくて」
と治療のことを告げられずに、仕事を休むことを引け目に感じたり、体調不良を説明できずにいる女性も多くいます。

でも、男性上司であっても妻や親族などに治療経験がいるケースもあり、案外協力してくれることも多いようです。

また、知らないだけで、会社が用意しているサポートや行政の支援策がある場合もあります。

国も2016年には「働き方改革」の一環として「不妊治療」に関する提言をまとめています。

少しずつですが、治療を取り巻く環境は変化しています。

まずはパートナーとしっかりコミュニケーションを取りながら、勇気を出して「相談」

という一歩を踏み出してみてはどうでしょう。

その上で、不妊治療の半分は「体づくり」という事を意識して、食事内容やストレスを溜めない生活を心がけるなど、体にも心にも負担をかけない両立法を見つけてほしいと思います。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?