見出し画像

ケアラーの方に向けて、成年後見制度の解説記事を寄稿させて頂きました。

ケアラーの支援活動をされている一般社団法人ケアラーアクションネットワーク協会さまの情報発信サイト【ケアラーズプレス】に成年後見制度の解説記事を寄稿させて頂きました。

↓ 寄稿はこちらから


●一般社団法人ケアラーアクションネットワーク協会さまサイト


高齢の親や知的障害のある家族のお世話をされている方々にとって、一度は聞いたことがあるかもしれない成年後見制度。

この成年後見制度ですが、一定の理解があったとしても、

「結局、利用した方がいいのか?」
「利用しないといけないのか?」
「メリットとデメリットは何か?」

といった悩みをお持ちの方が多いような気がします。

なぜそうなってしまうのかと言うと、

成年後見をはじめとする法律の制度解説は、聞き慣れない専門用語が多くて、読み手の方にとって理解しにくいものが多いからかなと思います。

そして、

情報としては確かに正しい内容であっても、利用者の立場に立った目線で解説しているものが少ないからかもしれません。

※東京都福祉局の解説記事は簡潔で、これはこれでよいかもしれないです

難しそう、結局どうすればいいのかよくわからない、利用の判断基準は何か。そういう気持ちに応えたいなと思い、利用者目線に立った、本当に知りたい、役に立つ情報だけに絞り、私なりに記事を書いてみました。

特にヤングケアラーと呼ばれる小中高の学生さんでも分かるように留意しました。

「周囲の大人は成年後見人をつけないといけないって言うけど、それってそもそも何?」
「成年後見人って何をしてくれる人?」
「無料で手助けしてくれる制度なの?」

こうした疑問を想定しながら書いています。

成年後見制度の利用で悩まれることでは、費用負担の問題がかなり大きいのではないかと思います。

保有財産の多寡にもよりますが、仮に職業後見人(弁護士や司法書士など)に月3万円の報酬を支払うとなれば単純に年間で36万円、10年で360万円ですから利用者からすると決して安くはありません。

知的障害などでまだまだ若い本人に不必要に成年後見人をつけると原則は亡くなるまで報酬を支払い続けないといけませんから、金銭的には利用者にとってはかなりの負担になります。

でも、経済的に困難なご家庭を対象に、申立て費用の助成や自治体によっては後見人報酬の支援制度があるといった情報を教えてくれるものは意外と少ないようです。

また、日常の金銭管理などでは後見人ではなく地域の社会福祉協議会で対応できるものもありますから、部分的な情報だけで安易に成年後見制度を利用しないようにご注意ください。

一方で、成年後見制度のもう一人の当事者である職業後見人にとっては報酬が安すぎて、コスパが悪い仕事とも言われています。

だから、職業後見人を引き受ける士業の先生は社会貢献としてされている方か、報酬が安くても売上を作るために止む無くされている方のどちらかになるのが実態で、ビジネスとしてはなかなか採算が合いません。だから、期待を下回る対応しかしてくれない場合が、とても残念ですが、発生してしまうのですね。

従来、禁治産、準禁治産といった制度から成年後見制度に移行したのが2000年。私も当時、実務者として成年後見申立てを数限りなく行いました。

施設入居費用捻出のために行う所有不動産の売却やアパート建築に伴う借入れに伴う担保設定、財産管理でやむなく成年後見人をつけなければならないというのが実状ではないかなと思います。

制度開始から24年経ち、多くの改正を経て今に至りますが、使い勝手の評判はまだまだよくならないのが成年後見制度の現状です。利用者の実状に合った法改正を何度も重ねないと不満の解消は難しいのかなと思っています。

【厚労省・成年後見制度の現状】
https://www.mhlw.go.jp/content/001102138.pdf

もし、ご家族で成年後見制度を利用しないといけないのかなと悩まれている方がいらしたらケアマネさん、地域包括、ソーシャルワーカーさんなどに相談されるかなと思いますが、法律や制度的なこと、経済的負担の実態なども含めて複数の専門家に相談してから慎重に判断されるのがいいと思います。
また、あわせてお住まいの自治体の各種補助制度がないかも調べてみるのがよいです。

一人でも多くの方に微力ながらお役に立つ情報提供できたら嬉しいです。