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金城哲夫 ウルトラマン島唄/上原正三
1999年刊行。
以前から読みたいと思っていのですが、絶版と言うこともありなかなか手に入らず、先送りしていました。上原正三さんの訃報に接し、このタイミングで読まなくてはいけない、と高値でしたが思い切って購入しました。
主人公は著者にといっての兄貴分(上原さんの方が一つ上ですけど)であり、円谷プロでの戦友であり、ウルトラマン、ウルトラセブンを形創った男・金城哲夫氏。
円谷プロ時代のエピソードはむろん、金城が沖縄に帰り夭折するまでの話も書かれています。金城氏がなぜアルコール中毒になり、事故死してしまうのか。事実としては知られていてもその過程はあまり知られていないと思います。
金城氏の心の葛藤を追いかけて、それを明らかにしようとしています。戦友であると同時に、同じウチナンチュだからこそできた部分もあるのだと感じました。
琉球と大和の架け橋になりたいと思っていた金城の心が壊れていく様は、読んでいてい切なくなります。今に続く沖縄問題の根を理解できるかもしれません。
この本は、金城氏の映画を撮るはずで、その脚本のための取材が元になっているそうです。僕はまったく初耳です。
金城役は佐野史郎に決まっていたそうです。そう知るとよけいに、その映画、なんとか実現して欲しかったと思わずにおれません。