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自意識過剰なあなたには、シーツの呪文を
醜悪な自意識を見せつけられる『転落』
先日、カミュの『転落』という小説を読んだ。
この作品は1956年の作品であり、『異邦人』や『ペスト』で有名になったカミュの晩年の作品だ。
僕はこの作品を読んで、これは僕の好きな小説の5本の指に入るかもしれないと直観した。それくらい面白い読書体験だった。
何を隠そう、読んでいる間はとても不快な気分だった。
読みながらも、早く終わらないかと思っていた。
この主人公に心底共感できない。主人公の自己愛、自意識が強すぎるのだ。
しかし、読後、しばらく経って考えると、あの不快感は自分の内面にある隠したい一面を抉り出されたからだ、ということに気づく。
ああ、自分は同族嫌悪に陥っていたのかと。
あの嫌悪感は、自分の嫌な部分を見せられていたからなのか…
そんなことに読後にようやく気づき始めるのだ。
そんな嫌な経験をさせてくれる小説は、僕にとっての最高のエンタメだ。
同じ理由で、三島由紀夫の『金閣寺』も、僕の小説の中のライフタイムベストに入るだろう。
この僕の小説の評価ポイントは、ひょっとしたら共感してくれる人はそんなに多くないかもしれない。
なぜなら、多くの人は、小説に爽快感とか満足感を求めて、嫌悪感は避けたいと思うからだ。
だから、この『転落』を人に薦めることはしない。
みんなも、「どれどれ、そんな面白いのか?」という軽い気持ちで読まないでほしい。きっと後悔するから(笑)
自意識過剰で病んだ話
さて、今回語りたいのは、この『転落』のことではない。
この小説を読んで思い出した自分の自意識過剰なストーリーを語ってみたい。
それは、自分が社会人になりたての頃に遡る。
僕が社会人をスタートした時、とにかく気持ちだけは勇ましいものがあった。
何とか上司から認められたい。
同期のメンバーよりも少しでも早く活躍したい
最初から影響を与えるような仕事をして周りを驚かせたい。
そんな気持ちで溢れていた。
しかし、強い意気込みとは裏腹に、仕事はうまくいかない。
信じられないミスを連発し、礼儀作法もままならず、最初から多くの指導を受けた。
気持ちは焦る。
同期はどんどん活躍しているし、みんな上司との関係も良好っぽい。
それなのに、自分は組織の足を引っ張ってばかりだ。
おそらく上司からは「今年のうちの新人は失敗だった」と思われているに違いない…。
そんな余計なことばかり考えている心理状態だったからだろう。
またミスをやらかしてしまう。それもかなり大きなものを。
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