MY day is made by... - Kawaii make MY day!!
かわいい女の子に憧れたこと、ありますか?
わたしはあります。
「かわいい女の子」に限らず、きっと誰しも「憧れの人」を見つけてはそうなるために努力したり、現実の自分との差に絶望したり、一度くらいはしたことがあると思います。
わたしも毎日それの繰り返しを生きています。
女性アイドルって、男性から見た「理想の女性」の側面も持ちつつ、女性から見た「なりたい私」でもありますよね。
アイドルに憧れる女の子、って、珍しい感覚ではないと思うのです。
「女の子の憧れのアイドル」でありながら「アイドルに憧れる女の子」である3人の女の子たちの「かわいい」の応援歌のお話です。
はじめまして、「かわいい」わたし
この曲は「アイドルマスターシンデレラガールズ スターライトステージ」というスマホ向けリズムゲームのイベント楽曲としてリリースされた楽曲です。
歌っているのは「アイドルマスターシンデレラガールズ」に登場するアイドルたち。
空手少女である中野有香、ピアノが特技な水本ゆかり、ドーナツ大好き椎名法子の3人がこの楽曲を歌います。
こんなフレーズから始まるこの楽曲。
「画面の中の女の子」とはきっと憧れのアイドルのことかな?
この曲はアイドルの歌っている曲ですが、アイドルに憧れる女の子の歌っている曲でもあるのです。
ここから3人の女の子は「かわいい女の子」を目指してたくさんの試行錯誤を繰り返します。
容姿って不思議で、手を掛ければ掛けるほど「自信」になるんです。
変わっている、変えているのは「見た目」のはずなのに、ちょっと胸を張って歩ける「自信」が湧いてくる。
変わったのは「自分」のはずなのに、なんだか「世界」が明るく見える。
そういう前向きに歩くための心、みたいなものがすごく鮮やかに描かれている曲だと思います。
自分だけの「かわいい」に出会いたい
そうして「かわいい」を手に入れた3人の女の子はまたしても「大問題」に出会います。
これって「かわいい」の土俵に立ったからこそ突き当たる問題なんですよね。
「もっとかわいくなりたい!」と願うのに、「憧れのあの子」を真似しても上手くいかない。
自分に似合う「かわいい」って何なんだろう?「あの子」と私の違いって何だろう?
2Bの歌詞がこの「大問題」に対する彼女たちの答えです。
冒頭にこの曲を歌っている3人のアイドルの紹介をしましたが、それがこの歌詞に現れているんですね。
Bメロの歌詞、1番ではこうなんです。
空手少女・中野有香は「力を込めすぎて折れてしまったリップ」から「黒帯をイメージしたチョーカー」。
ピアニスト・水本ゆかりは「気合を入れすぎたリサイタルドレス」から「五線譜をあしらったタイツ」。
ドーナツ大好き・椎名法子は「とりあえずドーナツ」から「大好きなドーナツをモチーフにしたヘアゴム」。
それぞれ「かわいい」に対して空回り気味だったところから「かわいい」を自分らしくチューニングできるようになっているのです。
この1番と2番の変化から、3人がどれだけ「かわいい」と「自分らしさ」に向き合ったのかがよくわかります。
そして「かわいい」は「自信」。
「憧れのあの子」の使っているものを闇雲に真似して悩んでいたところからもステップアップし、「おそろいのアクセサリー」を勇気をくれるおまもりにしてまた街へと繰り出すのです。
憧れの「かわいい」を精一杯
ここまで「アイドルに憧れる女の子の『かわいい』への努力と成長」についてお話しましたが、この曲の素敵なところは何もそういったストーリー性だけではありません。
マスカラとかまつげエクステとか、女の子が自分をメイクアップするときに「まつげを伸ばす・増やす」ということをします。
これ、実際結構実感できるぐらいまつげが重たくなるんです。
初めてエクステ付けてもらったときほんとにびっくりしちゃった。
「おしゃれ」とか「かわいい」って、よく言うんですけど、実際本当に「我慢」なんですよね。
メイクをするのにも時間がかかるし、お金が掛かるし、冬場はかわいい格好したら寒いし。ヒールの高い靴は足が痛いし。
でもそれって「我慢してでもやらなきゃいけない」「女の子に生まれたから仕方ない、女の子はお金と手間がかかって大変」なんかじゃなくて、「自分が少しだけ上を向いて楽しく生きるための工夫」だと思うんです。
面倒だけど、手間がかかるけど、それでも少し心が軽くなって、世界が明るくなる魔法だと思うんです。
そんな「おしゃれ」「かわいい」の心理を「まつげメイクで重たくなったまぶたと対照に明るく見える空」になぞらえて表現するって、本当に綺麗で大好きな歌詞。
「かわいい」私に変わりたい?
「自分を変えたい」って普遍的な感情だと思います。
今のままじゃダメだ、もっと自分を好きになりたい、自分が好きになれる自分になりたい。
それを原動力に「変わった」とき、昔の自分って捨て去っていいものなんでしょうか?
積み上げてきた「自分らしさ」と、かわいい女の子への「憧れ」って、二者択一なんでしょうか?
この曲を歌っている3人はそれぞれ「自分らしさ」を積み上げてきて、だからこそ「かわいい」に対して空回って、それでもちゃんと「自分らしい『かわいい』」を手に入れた。
そんな3人の思いはこのフレーズに集約されているんだな、と思います。
もしかしたらこれって「自分らしい『かわいい』」を手に入れられたからこそ言える生存バイアスみたいなものなのかもしれないですけど、それでも「今の自分」だけじゃない、「昨日までの自分」も大切にできるあたたかさ。
「かわいい」は「自信」だ、と先にも書きましたが、「自信」って「自分を肯定すること」と言い換えることもできるんじゃないかな、と思っています。
だから、今も、過去も、未来も。
全ての自分を認めて、その上で輝こうとするこの歌詞って、「かわいい」と向き合った結果彼女たちが得た「自信」の最たる現れだと思うんです。
そんなこの曲は「かわいい」の応援歌であり、「自信を持つこと」への応援歌でもあります。
昨日よりちょっと頑張って、昨日よりちょっと自分を好きになって、昨日よりちょっと胸を張って歩けるように。
そして昨日までの自分も愛せるように。
取り上げなかったところにもたくさんたくさん素敵でかわいくて前を向ける言葉が散りばめられているので、サブスクではワンコーラスしか聴けないのですが、ご興味のある方はダウンロードやCDでぜひ。
今も昔も本当に大好きな曲です。
以上でおすすめCDアドベントカレンダー2022、完走となります!
参加いただいたみなさん、記事をお読みいただいたみなさん、どうもありがとうございました。
昨年に引き続き思い付きで走り出した企画でしたが、書き手のみなさんにとっては好きな音楽と向き合うこと、好きの気持ちを分解・表現することのきっかけに、読み手のみなさんには良い音楽や良い文章表現との出会いのきっかけになっていたら嬉しいです。
わたしも参加してくださった方の記事は読ませていただいていますが、「好きなものを好きな気持ち」をこんなに綺麗に言葉に認められる人が自分の手の届く範囲にもこんなにたくさんいるんだなって思えてすごくあたたかかったです。ありがとうございました。
来年はわたしが企画することはしない予定ですので、もしどなたかが企画するようでしたらその場でお会いしましょう。
改めておすすめCDアドベントカレンダー2022、どうもありがとうございました!