RAW現像ソフトをかいつまむ番外編 DxO FilmPack 7
前回の記事にて、次はPhotoDirectorを試す旨を記載したが、諸般の事情によりPhotoDirectorの試用を諦めた(経緯は末尾に記載)。その変わり、ではないがDxO社のFilmPack 7を試したので、その概要を記事にする。
”タイムレスな銀塩写真の魅力を再び”
ノスタルジーを売り込むキャッチコピーは安易な印象を受ける。
とはいえ、フィルム写真のようなデジタル写真を作りたい自分がいる。
葛藤に葛藤を重ね、ということもなく、寧ろ迷うことなくインストーラをダウンロードした。
お決まり(?)のWebページ構成チェックはやらない。
インストール
メールアドレスを入力し、「無料トライアルを開始」ボタンを押下するとインストーラをダウンロードできる。
インストール自体はスムーズに進み、初回起動時に「体験デモ版」を押下すると、一か月間のトライアルを開始できる。
意図したものでは無かったが、FilmPack 7をインストールすることで、PhotoLab 7のFx(エフェクト)機能が増えた。Fxには、主に粒状感など、実写では写らない、ないし撮影データに存在しない情報を意図的に出現させる、言うなればファッション性のある演出を可能にする。このことから想像すると、もともとはPhotoLab 7のプラグインのような位置づけの機能を単体のソフトウェアでも扱えるようにしたソフトなのかもしれない。
トライアル
FilmPack 7は、少なくともLUMIXの.RW2形式や.DNG形式のRAWデータを取り込める。他の拡張子のRAWファイルは試していない。JPEGも読み込めた。
UIはPhotoLab 7と大きく異なり、基本的には、プリセットから好みのものを選ぶ使い方のようだ。このプリセットは、世の中の有名どころのフィルムの仕上がりを模擬したものだ。普段からフィルムで撮影される方は、プリセットの名前からある程度仕上がりを想像できるかもしれない。
プリセットを選択すると、そのプリセットの元となっているフィルムについてちょっとした情報が表示される。最初のうちは楽しめそうだが、画像領域を侵犯していることもあり、表示有無を切り替えられると嬉しい。
ここで、お気に入りの画像を用いてフィルム風写真を作ってみる。この画像は、以前PhotoLab 7でRAW現像トライアルを実施したときに、フィルム風の演出が上手くいったものだ。今回は、敢えてFilmPack 7を用いて自分が現像した画像に近づけてみる。
FilmPack 7適用例
上の画像の元になったRAWデータを読み込み、仕上がりが近しい
FujiFilmのSensia100のプリセットをあてた。
プリセットを当てただけではまだPhotoLab 7で現像した写真とは雰囲気が異なるので、FilmPack 7に搭載されているパラメータ調整機能を使ってみる。
一見するとFilmPack 7だけインストールしてもRAW現像できそうな機能になっているが、エッセンシャルな機能のみを有している印象を受けた。
Sensia100のプリセットを当てた画像に対し手作業で微調整を加えたところ、PhotoLab 7で現像した写真と近い仕上がりになった。但し、雲の感じはこちらの方が自然。
今回は、RAWデータをFilmPack 7に入力し、少し調整も交えて好みの写真を現像してみた。今回試すことは無かったが、仮にPhotoLab 7等の現像ツールで現像したデータを再度DNG形式等で出力し、それをFilmPack 7に入力することが出来れば、また別の使い方があるかもしれない。
所感
私の考えでは、結局のところ(前述の通り)このソフトはPhotoLab 7のプラグインとしての使い方しか想像できなかった。そう遠くない未来に、無精して手軽にフィルム風写真を量産するようなことがあれば、FilmPack 7を導入して正解だった、と豪語しているかもしれない。有り得そうな未来図だ。
未来図、とは正反対の意味合いを持つ、このFilmPack 7で特徴的な「タイムマシン機能」についても確認した。写真史を追体験できそうな機能だが、私には恐らく自身の写真に対しここまで派手に演出する機会は無い。
ワークフローの中心にPhotoLab 7を据えたうえで、粒状効果を使う、等のごく特定の用途だけに追加料金を支払うのは心理的に障壁を感じるが、特定のテーマに沿って現像する場合にFilmPack 7が必要な可能性はある。
…と思っていたら、時は2023年11月21日、FilmPack 7はBlackFridayで¥9,900になっている。そして何とPhotoLab 7も同様に¥25,900のところ¥19,900になっているではないか。合計¥35,800、値引きの総額は¥11,000…!!
但し、以前可能だったPhotoLab 7+FilmPack 7セットによる値引き(確か合計¥33,000)の紹介が無くなっている。これはBlackFridayでこのセットを買うと高くつく可能性があるし、その後もう価格が戻らない(合計で¥46,800)支払わなければならなくなる可能性もある。
物事は冷静に検討してから進めるべきだ、と実感した。
PhotoDirectorの試用を諦めた理由
私のPCには、実はPhotoDirectorがプリインストールされている。こう書くと一部の方は私のPCの銘柄(あまりPCでは使わない言葉だが、私は日本酒が好きだ)が分かるかもしれない。
私のプリインストール済みPhotoDirectorは、試用版による制約かもしれないが、残念ながらLUMIXのRAWファイル(.RW2形式)を開けないようだ。
一方、Leica M Typ240で撮った写真については編集可能なので、少しパラメータを調整してみることにした。その中で、カーブ調整できる範囲に制約がありそうなことが分かった(もしかするとツール側で「ノイズが出る」「見た目として極端になってしまう」等の状況にしないように制約をかけてくれているのかもしれない)。殊Film風現像において個人的に多用するカーブ調整に制約があることが分かり、PhotoDirectorを諦めることにした。
そういうわけで、次回はどのソフトを導入することにしたか、を記事にまとめてみたいと思う。
その記事を書いている頃には、何らかのソフトを購入しているであろう。