白昼夢
きみが愛を語る日はいつもかなしい
ひたむきに生きてきた両腕を
真っ直ぐに伸ばす仕草が
太陽まで届かないことを知っている
横殴りの白線のような傷跡
向き合わなければならないのは
生と死 どちらなのか
小さな窓のある部屋で外の雨を眺めよう
守られていることに鈍感になり
鳥が撃ち落とされる
きみは甘いキャンディになるんだよ
なにもかも全て忘れてしまって
適切な体温の中、溶けていくのをゆっくりと感じとればいい
ささやかなしあわせがあればいいと歌った歌人は死んでしまった
いまをもがく必要はどこにもない
きみを包んだわたしの隙間から
きみが溶けでて
太陽の光で蒸発していく
気泡が反射して安っぽいガラス玉のようにきらきら きらきら きらきら綺麗(泣きはらしたきみのまつ毛についていた水滴のつぶつぶもこんな感じだった。)
美しいね、世界は。どこまでも美しいね。