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AIは人間を淘汰するか

ChatGPTがリリースされて久しいが、社会に浸透しつつあるAIはシステムの中で非構造化データと構造化データのコンバータとして機能しているものが主で、僕ら一般人が想像するドラえもんやC3POのようなAIやロボットはまだ日常生活には現れていない。
今回はビジネス的視点を一旦放棄し、AIと人間の未来について考えてみる。

今あるAIと僕らが想像する「ロボット」の違いは何なのだろうか。

僕はその一番の違いは「意思(≒感情)」がないことだと思う。
ChatGPTに好きな色を聞いても好きな俳句を聞いても「私はAIなのでありません」と言われてしまう。

では私達人間の意思はどこから来ているのだろうと考えると、それはおそらく人間の「自分の遺伝子を残したい」という根源的な生存欲求から派生したものだと考えられる。
そこから派生して食欲・睡眠欲・性欲といった三大欲求が生まれ、さらに派生して金銭欲や出世欲が生まれている。
日常の「旅行に行きたい」や「あの服が欲しい」といった欲求もすべて生存欲求から派生に派生を重ねて生まれたものなのだ。

このように考えると、人間は無意識かつ本能的に生存欲求を身体から受取り、それが意思につながっていると考えられる。
そうすると、現在のAIには身体がなく死や絶滅の危機を感じることがないために生存欲求もなく、それゆえ意思もないといえる。

近い将来、機械や生体などのハードウェアとAIが接続されれば、身体情報を元に応答するAI(というか我々が想像する「ロボット」というもの)ができるだろう。

だが、それでもAIは意思を持つことはないだろう。
なぜなら目的関数が設定されていないからだ。
都度人間が設定した目的関数を最適化するだけのマシンになる。
それは今のChatGPTが身体を持った状態であり、物理的な作業もできるようになっただけだ。

ではここに、人間と同じように生存欲求という目的関数を設定するとどうなるのだろうか。
人間と同様に考えると、生存欲求から派生して様々な欲求が生まれるはずだが、人間と全く同じ欲求を持つようになるのだろうか。

進化生物学の理論で血縁選択説というものがある。

血縁選択説(けつえんせんたくせつ)とは、自然選択による生物の進化を考えるには、個体が自ら残す子孫の数だけではなく、遺伝子を共有する血縁者の繁殖成功に与える影響も考慮すべきだとする進化生物学の理論[1]。これによって、血縁個体に対する利他行動の進化を説明することができる。血縁淘汰説ともいう。

Wikipediaより

簡単にいうと、
「生物はときに利他的な行動を取ることがあるが、それは自分だけでなく自分の血縁者が遺伝子を残すことも自分の生物としてのメリットになりうるからだよね」
ということだ。
つまり生物は、自分と仲間が生き残るために自己犠牲となる行動をとることがあり、
生存欲求の派生として、「仲間を助けたい」という欲求も存在する。

一方、AIは繁殖機能も血縁も持たない。
よって個々のAIが生存欲求を満たすための様々な欲求は生まれるが、利他的な欲求はなく、各々の目的関数に対する利害だけで個体間の関係性が決まる。各個体の知能指数がどれだけ向上しようと、家族や仲間、コミュニティは生まれず、人間を種として上回ることはないだろう。

もし、遺伝子組換えでニューロン数を劇的に増やした脳を持つ生物で繁殖能力を持つ生物が生まれれば、人間の脅威になる可能性はある。
しかし、半導体チップの上でいくら高IQを持つ「なにか」を作ったところで人間の脅威にはなり得ないだろう。

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