なぜあなたの筋肉は増えないのか
おはようございます。
今日は筋肉の話です。
よくトレーニング初心者の方から筋肉が増えにくいという相談を受けます。
僕も元々リーンゲイナー(太りにくい、筋肉がつきにくい)なので筋肉がつきにくい人の気持ちはよくわかります。
その時に必ず言うのが、「増やしたいならまず減らしてください」ということです。
だいたい「はあ」と、腑に落ちてない反応が返ってきます。
これだけだとたしかに意味わかんないですよね。
できるだけ専門用語を使わないので興味があれば読んで行ってください。
“減るから増える”というのは一般的にはイメージしにくいかもしれません。普通減ったら減りますよね。
でも、それは自我が身体を完全にコントロールできていることが前提の考え方だと思うんです。
また、意味わかんないですね。
そこで一度、視点を変えてみます。
例えば、あなたが熱を出して寝込んでいる時、寝て休むと次の日熱が下がっています。
このとき身体の中では何が起きているかと言うと、体内の温度を上げることで免疫細胞がより活発に動く様に環境を変えているわけですよね。
では、あなたはこのとき、「ウイルスが入ってきたから、体温を上げよう」という判断をしていますか?
おそらくしていないと思います。少なくとも僕はしてないです。
そう、僕たちの自我とは関係なく、身体は動いています。
では、”何に基づいて”、”何をポリシーとして”身体が動いているかというと。
“survive”です。
人間、というか全ての生き物には”生き残る”という本能が備わっています。
生き残ることを最優先に細胞は活動しています。
さらにもう一つの誤解は、僕達の体が不変のものだという誤解です。
長くなるのでここでは詳しく話しませんが、身体の細胞は常に死んで生まれてを繰り返しています。
これが代謝です。
よくお肌のターンオーバーは28日と言われるのも細胞の入れ替わりの話です。
代謝の結果、生き残るために必要な場所には筋肉が優先的につけられ、不必要な場所は後回しにされるのです。(エネルギーの貯蔵物である脂肪はせっかくのエネルギー貯蔵が消費されないように、動かない場所、熱エネルギーが発生しない場所に優先的に滞留し、じきに貯蔵されます。)
身体の各細胞は生き残ろうと環境に適応します。
その結果、田植えをする人は、臀部とハムストリングが強くなるし、カツオ漁をしている漁師は広背筋や脊柱起立筋が強くなります。
ここで筋トレに話を戻します。
要するに筋トレというのは、人体が環境変化に適応して”Survive”しようとする性質を活用して身体の造形の変化を促すスイッチみたいなものです。
筋トレは細胞の代謝が行われている日々の中で、「ここに優先的につけてくださいね」という指示に過ぎません。トレーニングのボリュームや強度は優先度を示します。
初期のフェーズで最も重要なのは、筋肉が減ったり傷ついたりすることで今まだ温室育ちだった身体に「筋肉をつけないと生き残れない」と思わせることなのです。
ここからは具体的な話です。
僕の様に、長い間ボディメイクをしている人の身体は、常に筋肉が壊され、常に栄養が補給され、常に新たな筋肉が作られるサイクルに身体側が慣れている状態。
変化の慣性が働いている状態です。
例えるなら、走り始めて軌道に乗っている自転車です。
一方で、まだ筋トレ初心者の人の身体はどうでしょうか。
筋肉の増減という意味では、走り出していない自転車と同じです。
最初の一漕ぎって走り出して安定した頃に比べて力が必要ですよね。
それと同じで、身体に環境変化を加える際の最初の一歩は、大きく変えてあげないと身体は「やばい」と思いません。
だからこそ、最初のフェーズは少し無理をしてください。
そして減量から始めてください。
やり過ぎは良くありませんが、少し、カタボリック(筋分解)を起こしているかな?というところまでやった方がいいです。
気持ちの面でも筋肉がはっきり見える様になれば嬉しかったり、がっかりしたり、モチベーションに作用します。ここまでやったんだから、次の筋肉を増やすフェーズはもっとちゃんと取り組もうと思えます。
そうすると、減量を終えたタイミングで、やや飢餓状態にある身体は「今、栄養が入ってきているタイミングで必要なところに筋肉をつけておかないと生き残れない」と思い、トレーニングをしている場所に優先的に回されます。(ただ、代謝が下がっているので一気に食べすぎるのは要注意です。)
さらに食べ物の吸収効率も上がります。これまでは同じ量食べても栄養として吸収されていなかった食べ物の養分も吸収して筋肉に回されるんですね。
元々太りにくかった体質の人がトレーニングフリークになってから太りやすくなるのはこの為ですね。
環境適応については、おそらく、元を辿れば関係しているのは脳なので、色々なことに応用ができる考え方だと思います。
あくまで1人の人間の意見として、面白がってもらえたら嬉しいです。
では、また。