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資格学校は行政書士をどう考えている?
資格学校の売り文句を見てみよう
皆様こんにちは。今日もこのnoteを開いていただきましてありがとうございます。
日本では、もうずいぶん長い間資格ブームが続いていると思います。そんなブームの中でも、行政書士というのは特に人気の高い資格のひとつです。
しかし、そういう資格学校は行政書士とは何かということを本当に正しく把握して、その上で宣伝しているのでしょうか?誇大広告はないんでしょうか?
というわけで、今日は各資格学校の「行政書士とは何か」の記載について触れていこうと思います。
なお、資格を教える学校にも「通学型」と「通信教育型」があり、これを分けることも考えたのですが、通学型も東京の本部校で撮影された講義を編集してインターネットで全国に配信、という通信教育型に限りなく近い形になっているものもありますし、ここはとりあえず「行政書士の試験勉強を教えるサービスで対価を取っている会社」というのを丸ごと「資格学校」と称しようと思います。ご了承下さい。
いきなりか…
というわけでネット検索をかけてみました。検索ワードは「行政書士資格学校」です。まあGoogleですから、一番上の方が「スポンサーである」ことは分かりきっている話ではあるんですが、いきなり一番上に「行政書士とは何か」を表示していない資格学校が出てきました。資料請求したらもしかしたら書いてあるのかも知れませんが、どうせあとからうるさいぐらいにおすすめメールが飛んでくるのはわかりきってますので資料請求はしません。
まあとりあえず、自身行政書士事務所を運営しているMTという人物の顔写真がドーンと出てきて、その人物がやたらトップヘビーなツーブロックに無精ヒゲという時点で怪しさ満開なんですけど、気になるのは「法律」「法律家」という言葉が多いんですよね。
まあ、確かに行政書士試験は法律の試験ではありますが、行政書士は法律家という誤った認識を刷り込もうとしている雰囲気はあります。
また?
というわけで次のところを見てみたんですが…ここも行政書士のなんたるかは書いてないぞ、ヲイ。
資格試験について教えているわけですから「合格できますよ!」という宣伝は決して悪いわけではないのですが、ここの特徴は「行政書士試験合格で受講料全額返金!」というのを謳っている点ですね。不合格なら返金しますはまだ理解できると思うんですが、合格で返金?おかしくない?
まあ、返金する代わりに「ここの講座で受かりました!」というCMにはさんざん出演してもらいますよということでしょうか。ここも資料請求しないと全貌がわからないところではありますが、前と同様の理由で資料請求はしたくありません。
大手資格学校その1
次もスポンサーですが、割と大きな資格学校です。やっと行政書士のなんたるかを説明しています。と言っても「ビジネスマンに根強い人気、その理由とは」なんて書いてありまして「魅力」として説明されています。
魅力1・法律・行政手続プロフェッショナルに
魅力2・多様な活躍の場
魅力3・他の国家資格の「ベーシック・ライセンス」としての行政書士
だそうです。
ひとつぜひ突っ込んでおかなければいけないことがありまして「魅力2」の細かい説明の中に書いてあることなんですが。
「6000種類以上とも言われる多様な書類の作成業務」
ができるってことなんですね。
実はこの6000種類という数はまだだいぶ控えめな方で、10000種類以上あるなんていう話から100000種類以上あるなんていうことを書いている人もいるぐらいなんですね。
まあいくつあってもいいんですけど、その6000種類~100000種類の書面を列挙している資料を私は見たことがありません。
限定して「これを書け」という書類がないのが行政書士の特徴ですから、フェンスに吊すために段ボールに「犬のフンお断り」と書くのを専門にする「犬のフンお断りのプロ」がもしいたらこれは立派な行政書士業務だと思うんですが、そんな現実にはあり得ない例まで含めたら絶対100000ぐらいすぐ超えますわな。
ただ、この資格学校のサイトには「ベーシック・ライセンス」としてより難しい試験を課している他資格へのステップとして法令対応能力を確認して適性があるかどうかのチェックになるみたいなことが書いてあります。
この視点は、点数をつけるなら55点ってところです。すごく良くもないですけれども、えらく間違ったことを言っているわけでもない。
法律対応能力より重要なのは、営業能力があるかないかなんですよね。これは以前にも言ったような気がするんですが、最難関資格の司法試験から最も簡単と言われる行政書士まで、試験で営業能力の有無を測っている資格はありません。
だから独立開業できる資格としては一番簡単と言われる行政書士を取ってとりあえず事務所を持って1年やってみて、それで営業能力の有無はわかると思います。行政書士1年やってみて結果がはかばかしくなかったら自分は士業で独立には向いてないと思ってその道は諦めるべきです。
行政書士でやっていけない方にたまにいらっしゃるんですが、行政書士でダメなのは資格の力が弱いからだ。他のこの資格も取ってみよう。それもダメならこれも取ってみよう…の繰り返しになる人がいます。
ズケッと言いますけど、それは資格の力がないんではなくあなたの力がないんです。あなたが無能と言いたいのではなく、士業で独立という働き方はあなたには向いていないことが証明されました、そういうことです。
ご存じの方もいらっしゃるでしょうが、行政書士試験合格という事実は、社会保険労務士の受験資格を満たします。だから行政書士試験合格者に社労士の受験を勧める資格学校も多いです。
でも、行政書士資格でダメだった人は多分他の強い資格を持ってもダメですよ。諦めましょう。
「行政書士試験合格から登録・開業を目指し、行政書士の生の声をお伝えします!」なんて意気揚々と始まったブログが「合格しました!」「登録しました!」→「社会保険労務士試験受験のためしばらくブログ更新停止します」という顛末になっているところなんて結構たくさんあったんですけどね。最近チェックしてませんが。
そういう人って「登録しました」から「ブログ更新停止します」までの間にヒヨコ食いセミナー受けて感動した体験なんかを書いたりしちゃってまして…ああ、いいようにやられてるなって感じなんですが。
まあそんなわけで「ベーシック・ライセンス」としての行政書士を薦めているところは、理由はちょっと間違ってますが結論としては間違っていません。
それから最後に付け足しますが、最初に出した資格学校のMTさんが講師として大々的に紹介されてます。「提携し、インターネットと教室での学習スタイルを両立させることで、マイペース&低コストで学べる新しい講座」だそうですが、ここ、多分行政書士講座はいまいち不得意だったこの学校と、合格率はいいものの知名度はいまいちだったMTさんとこがWin-Winの提携をしたってところだと思います。
例のアレ
あそこですわ。「それ、なんの役に立つの?」というような資格をAKBとかに受けさせてる例のアソコです。
トップページにまず謳われてるのが「10年間の合格者2687名突破」とのことなんですが、1年あたりに直すと269名ってところですね。それ、誇るほど多くねぇぞ?あと「2687名突破」って何?2687名を超えたってこと?だったら最終的に何人になったのかを書いた方が広告としてはずっといいし、曖昧さもなくていいと思うんですけどね。まあ、2687人なんでしょうね。「突破」っていう勢いのいい言葉を使いたかっただけで。
そして次に大々的に打ち出しているのが「割引」です。基本的にこういう資格学校って安かろう悪かろうだと思ってますので下手に割引をするより講義内容を充実させた方が良いと思います。
そしてここの「行政書士って?」がひどいと私は昔から思っていたんです。
行政書士って?
依頼人をサポートする「身近な街の法律家」
行政書士は、弁護士や司法書士などのように、法律を扱う国家資格。
幅広い法律の知識を持ち、市民にとって気軽に相談できる法律のプロとして、多くの人の権利や財産を守ります。「身近な街の法律家」として依頼人をサポートする、やりがいのある仕事です!
だそうです。
でも、弁護士は行政書士のやることの非道さに普段から呆れてますよ?
そもそも、弁護士や司法書士は法務省管轄、行政書士は総務省管轄ですしね?
消費者問題だか離婚問題だか忘れたけど「行政書士さんに内容証明を送ってもらいました」「それ、いまありますか?」「はい。これです」「(一読して)これ、いくらかかりました?」「はい。●万円です」「はあぁぁぁぁぁ(盛大な溜息と脱力)」というのが弁護士あるあるだと言ってる人もいますし。弁護士に頼めばもっと高いクオリティのものを数千円で出せたのに、ってところでしょうね。
さらにここの宣伝文句を読んでいきましょうか。
「書類作成や相談業務を行います」
・書類作成業務 官公署に提出する書類を作成
・書類提出手続代行業務 作成した書類を代わりに申請
・相談業務 クライアントの相談を聞いてアドバイス
一つ目、二つ目の業務は問題ないと思うんですよ。
でも三つ目、これは誤解を呼ぶ表現ですね。あくまでも作成している書面に関する相談だけで、それ以上やったら違法ですよ?
そこをうやむやにして事実上法律一般の相談に応じているから弁護士法違反になっちゃって弁護士さんたちがキレてるわけで。
「ここはこう書いておいた方がわかりやすいんじゃないですかね」程度のアドバイスができるのが行政書士の精一杯だと思います。
さらに読んでみましょう。
「行政書士の仕事は、多くの人の権利や財産を守る、やりがいのある仕事。
官公署に提出する各種許認可・届出書類などを個人や企業に代わって作成するとともに、提出代理や相談業務を行います。 扱える書類は数千種類以上あり、幅広く活躍することが可能です!
また、法務コンサルタントとしても大きな期待が寄せられています。」
出た「扱える書類は数千種類以上」。
だから本当にあるんなら列挙してくれ。
ついでに「法務コンサルタント」。
法律コンサルタントと法務コンサルタントの違いなんて一般人の皆様にはわからんだろうしなあ。
それからバッジについて説明しています。
調和と真心を表すバッジ
「行政書士になると、コスモスの花弁の中に「行」の字をデザインしたバッジを取得できます。
行政書士のバッジは「調和」と「真心」の象徴。誠意を持って国民と行政をつなぐ「法律の専門家」であることを意味しています。」
だそうです。
私、そっち方面の勉強もちょっとしてますんで言いますけど、コスモスっていうのはギリシャ語の「κοσμος」が語源なんですけど、調和以外に「宇宙」とか「秩序」という意味もあるんです。
宇宙のコスモスはご存じの方多いと思うんですよ。ミクロコスモスとか言いますからね。
「秩序」という意味から現代英語に残ってる言葉なんかだとコスメティックスなんていうのがあります。
コスモス名乗る士業が法秩序を乱してどうすんじゃい!
って話です。いやほんと。
ここ、本当にあまりにも酷いんですがこれ突っ込むととても1回や2回で終わりませんので今日は無理矢理ここまでにしましょうか。
次回もここに対するツッコミから入りたいと思います。
どうぞご認識をお願いしたいことなんですが、各資格学校があまりにも「行政書士というのはもんのすごい資格なんですよ!法律家になれますよ!」とか言っていること、そして「法律家である行政書士になったらメチャメチャいろんな仕事ができて先生と呼ばれてリッチマンになれるんだろうな」とか一般人を勘違いさせて客を取ってることを私は問題視しているわけです。
本来なら行政書士業界…つまり、行政書士会連合会、都道府県行政書士会、行政書士政治連盟、行政書士試験研究センターなどが「行政書士は弁護士や司法書士の仲間ではありません」と認識の歪みを正すべきだと思うんですが、勘違いしてもらった方が業界は儲かるし、資格学校も儲かるし…というWin-Winの関係になっちゃってるんでしょうね。
一方的に負け役を押しつけられているのは疑うことを知らない一般市民ってね。
絶対おかしいでしょ?こんなの。
だから私は今日もこういう文章を書いているわけです。
というようなところで今日は終えておきたいと思います。
最後にやはり宣伝です。
私はココナラで行政書士に関する相談を承っております。
何回も申し上げていますが、私は行政書士志願者や受験生、あるいは現役行政書士から「こんな仕事をしたい」「こんな仕事はできませんか?」みたいな質問があったら基本「できません」と気持ちを折りに行く方向で答えています。
そこらへん、甘く考えて、お金を一切失ってしまうぐらいならまだしも、下手をすると犯罪者にもなりかねないからそういうことを言っているわけです。
それでもやってみたいという方にはアドバイスをしています。
それで良ければお申し込み下さい。
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小説なんかも書いております。
こちらもぜひよろしくお願いいたします。
今日もありがとうございました。