現場作業員が考えるPDCAサイクルとOODAループ(1/100)
はじめに
スキマです。noteでは5分ラジオを毎日発信しています。人も部署もワンサカある製造業で現場作業員を30年以上やっています。普段は溶接とかしてます。
つまり私はマネジャでもリーダでもない作業員ですが、長年やっているので業務カイゼンやムダ取り、手戻りの削減に関しては成功事例も失敗事例も山ほど見て来ました。
この記事では、そんな「現場作業員」からみたPDCAサイクルやOODAループについての私の考えを書きたいと思います。なにせ現場作業員で上手く記事を書くのはまだ不慣れなので、これを初校としてブラシアップしていく予定です。
現場では何が起こっているのか
計画通りにいかないのが現場というものです。ありとあらゆるイレギュラーが発生します。
材料が足りない、届かない
完成が間に合いそうにない
○○さんが流行り病に倒れた
若手が辞めた
など、諸々のトラブルを乗り越え、目標を達成させなければなりません。そのためには作業員とリーダとマネジャのそれぞれの持ち場立場で出来ることを粛々と遂行していく必要があります。毎日がプロジェクトX状態では身が持ちません。
そのため、トラブルを効率よく乗り越えるための共通指針が必要になります。この指針のすり合わせにも色々あって
年初や月初など適切なタイミングで目標を示す
見える化
心理的安全性
自工程完結(モノと情報の流れ)
などのテクニックがありますが、詳しい内容は今日は触れません。
マネジャやリーダが示す目標に対して、作業員の貢献をいかにアピールするのがよろしいか、という観点では既存のフレームワークに乗っかるのが有利です。その理由は「共通のモノサシが持てる」点に尽きます。
共通のモノサシを持たないまま、忖度、腹の探り合い、足の引っ張り合いをするのは下策です。
本稿では、PDCAサイクルやOODAループを「共通のモノサシを持つ」ためのツールとして活用する提案をしています。共通というのは作業員、リーダ、マネジャ、この3つを本稿では指しています。
共通のモノサシ1:PDCAサイクル
製造業にはおなじみの小集団改善活動(所謂QCサークル活動)の教科書に必ずと言っていいほど出てくる
Plan
Do
Check
Action
です。X(旧Twitter)などで良く揶揄される
Planを永遠にこねくり回してDoが始まらない小田原評定
Doに忙し殺されてサイクルが回ってない
CheckがPlanからかけ離れてCheckが目的化する本末転倒
Actionと次のPlanがごちゃ混ぜになって有耶無耶になる
など、怨嗟の声が聞こえてきますが、持ち場立場別に層別すれば
マネジャ:PDCAサイクルを回すだけのリソースを与えていない
リーダ:作業員に必要な準備をさせないまま投げっぱなしジャーマン
作業員:マネジャやリーダが示した指針を曲解して明後日の方向に大爆走
こんな現状があるように思えます。どうしてこうなった。
PDCAサイクルは手段であって目的ではない
私が考えるに、目標達成のための手段としてPDCAサイクルを回すのであって、Planの前に職場の大目標があって、その問題を適切にブレークダウンすれば納得感のあるPlanが出てくるのが理想です。
この大目標を示すのは、主にマネジャの役割です。小集団改善活動は基本的にボトムアップの活動だとされていますが、このすり合わせができていなければ、当然のように小集団は明後日の方向に大爆走してコントロール不能に陥ります。
サイクルの時間軸はマネジャが決めるのがオススメ
私の勤務先では、春と秋に発表会がスケジュールされていて、自動的に6か月でPDCAサイクルが回るようになっていますが、別途、昇進選抜のかかるタイミングでイベントクエストが発生したりします。いずれにしても時間軸を作業者が自主決定することは是としていません。
時間軸をマネジャが決めずに作業者に丸投げしてしまうと
出来上がった策から逆算してでっち上げるチートが横行する
活動が作業者のモチベーションに依存するので永遠に後回しにされる
などの弊害が発生しがちだと思っています。
そもそも何故PDCAサイクルを回すのか
解決したい問題があるからに他なりません。私の勤務先では
問題=ありたい姿(理想)と現在の状態(現状)のギャップ、と定義しています。これは
現状既に問題が発生しており、ありたい姿に到達できていない(発生型問題)
現状の成り行きでは、将来の目標をクリアできない公算が高い(設定側問題)
に分けられますが、いずれにしてもここで言う ありたい姿 はマネジャが年度なり半期なり四半期なり月度なりで示しておかないと、リーダや作業者の納得感を得られません。逆に言えば ありたい姿 を示して、その達成に必要なリソースを分配するのがマネジャの役割で、時間軸に合わせて適切なリソースを投下しやすいのがPDCAサイクルだ、という見方も出来るのです。繰り返しになりますが大事なのは「マネジャ、リーダ、作業者、共通のモノサシを持つ」ことなのです。
脱線しますが、「経営者の視点を持て」と言う激励についての私の感想は「作業者やりながら経営者の視点が持てるなら一人親方として独立させちまった方が早ないか?」なので無理筋なんじゃないかなと思っています。作業者は凡人なので作業者をやっています。少なくとも私は。
PDCAサイクルがもたらす共通のモノサシ、とは
乗り越えるべき問題が何であるかが明確になる
時間軸が(〆切ドリブンで)明確になる
故に、数か月単位で粛々と達成すべき必達目標に向いています。私は現場作業員なので、PDCAサイクルに載せて粛々と取り組んでいますよ、と示すことでマネジャの朝令暮改を牽制する、割と卑怯な手を使います。
共通のモノサシ2:OODAループ
OODAループの詳細な解説については今日中に書き終える気がしないので、私が参考にしているページを紹介します
私が本稿で述べたいのは以下の2点です
OODAループは道具であって単体で問題解決は難しい
PDCAサイクルとOODAループの決定的な違いは「高速化」にある
OODAループの超ざっくりとした主観を含む解説をします。
観察=Observations
観察結果への適応=Orient
判断または仮説作成=Decision & hypothesis
行動または試行=Action & test
の頭文字を取ってOODAです。「ウーダ」と読むようです。
これ自体、個人の日常生活で普通に行っていることに過ぎない点に注意が必要です。時計を見て「もうすぐお昼だな、今日は何を食べようかな」みたいな話です。
なので単純にPDCAサイクルと比較して解説するのには無理があるのですが、それを承知でこの記事を書くという自己矛盾が発生していて困っています(なので本稿は初校として、これからブラシアップしていく予定なのです)
OODAループは道具であって単体での問題解決は難しい
OODAループは、ジョン・ボイド氏という軍人さんが「相手に勝つために」構築した戦闘理論な点に注意が必要です。
勝つための理論なので、何に勝つのかが明確になっていない場合、評価が不可能になる点に注意が必要です。PDCAサイクルと単純に比較するものではありません。
極めて乱暴に言うと、OODAループは「はやく決めて、はやくやる」ための指針となるものだ、が私の意見です。
(余談ですが、「はやく決めて、はやくやる」を検索するとマイクロソフト社の情報が出てきます。オススメです)
また、この点について詳しい解説をしている例を見ませんが、Dicision & Hypothesis と Action & Test をわざわざ分けている点に私は注目しています。判断が最速になるのは条件反射で、もぐら叩きであれば出てきたモグラは即座に叩いて良いのですが、銃を使うゲームでは大抵の場合、悪党と人質が出てきて「こいつは撃っていいか」を判断する必要が出てきます。
この「判断をすっ飛ばせるか」は相当に重要で、世にあるインシデントの結構な割合が
判断しなければならないのに省略してしまった(手抜き)
瞬時に判断すべきものを逡巡した結果間に合わなくなった(手遅れ)
だと思っていますが、これ自体が「OODAループを使っていたら防げたか」という視点で語られることはまずありません(後知恵としては大いにあります)
説得力のある文書になっていませんが、現時点では「OODAループは直接問題を解決するものではない(後知恵として解説に使うのは大いにあり)」とさせてください
PDCAサイクルとOODAループの決定的な違いは「高速化」にある
PDCAサイクルでは時間軸が明確になる、と先に述べましたが、この時間軸の短縮は1週間が限度(週報)で、日報や半日レベルに適応しようとするとチケットの導入やTO-DOの整備などが必要になると思っています。果敢にチャレンジした例を知っていますが、多くはマネジャやリーダがPlanを立てたり修正したりする作業自体に忙殺され、なし崩しになりがちです。
OODAループの紹介では「不確実な状況に果敢に対応できる」としている例があったりしますが、Observeから出発してなし崩しに場当たりに各個人が対応して良い、というのは組織の崩壊を招いたり、忖度、腹の探り合い、足の引っ張り合いが始まります。
最初に述べた通り「共通のモノサシ」が大前提で、OODAループにおいては 絶対的な指針と統制 Implicit Guidance & Control がモノサシになります。
この Implicit Guidance & Control が無いOODAループは出たとこ勝負と同義です。
なぜ Implicit Guidance & Controlによる高速化が必要なのか。
勝つためには相手の先手を取るのが上策だからです。OODAループは戦闘理論です。相手に勝つための理論です。そのためには相手より早くOODAループを回す必要があります。ボイド氏はテンポと表現して、相手より速いテンポにこだわっていたようです。
Implicit Guidance & Controlによる高速化が何をもたらすのか。
先に上げた 手抜き や 手遅れ を実に鮮やかに回避します。
現場ではありとあらゆるイレギュラーが発生します。手戻りを発生させるくらいなら、作業を止めて担当者を呼んで担当者を待つ(何なら担当が来るまで別のことをしておく)方が結果的に良い結果をもたらしたり、設備の非常停止に手遅れが発生すると大きな事故や災害に繋がる可能性があります。
私は現場作業員なので、必要に応じて責任者や担当者へのエスカレーションを実施しますが、エスカレーション基準が明確になることで、エスカレーション未満の作業を淡々と粛々と実施することが出来るのです。マネジャがこの点に注目することができないと、現場作業員とマネジャの間に軋轢が発生しがちで、ガード下での飲酒量が増えたりします。
最後に
すでに4500文字に近づこうとしていますが、OODAループの具体的な部分には全く触れず、現場作業員の泣き言を書き連ねてしまいました。
本稿は初校です。ブラシアップして、少しでも作業者、リーダ、マネジャに役立つものにしていきたいと思っています。X(旧Twitter)のフォロー、コメントを頂けるととても嬉しいです。
それではまた。
note記事未満の雑多な発信はブログに書くことが多いです(最近5分ラジオに押されて滞っていますが)