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行政書士業務 成年後見業務について
今回は、行政書士業務の一つである、成年後見業務について説明させていただきます。
行政書士が行う成年後見業務は、高齢者や障害者など判断能力が低下した方を支援する成年後見制度に関連する業務です。この制度は、本人の権利を保護し、生活の安定を図ることを目的としており、行政書士はその中で主に書類作成や手続き支援を担当します。
成年後見制度には、法定後見制度(後見、保佐、補助)と任意後見制度の2つがあります。
行政書士は、以下のような業務を通じてこれらの制度をサポートします。
1. 任意後見契約の作成支援
任意後見制度では、本人が判断能力を失う前に信頼できる人を後見人として指定する契約を結びます。行政書士は、この契約内容を公正証書で作成する際の支援を行います。また、契約内容についての相談や適切な契約者の選定に関する助言も行います。
2. 法定後見開始の申立書作成
判断能力がすでに低下している場合、家庭裁判所に対して成年後見人の選任を申し立てる必要があります。行政書士は、この際に必要な申立書や財産目録、収支計画書などの書類作成をサポートします。
3. 成年後見人の事務支援
選任された成年後見人が行う事務(財産管理、生活費の支出、契約の代理など)に関するサポートを提供します。特に、家庭裁判所に定期的に提出する報告書や財産目録の作成を代行することができます。
4. 相談窓口としての役割
成年後見制度に関する相談窓口として、依頼者やその家族に制度の説明を行い、適切な制度利用を支援します。
行政書士が行う成年後見業務の特徴は、書類作成の専門家としての知識と経験を活かし、制度をスムーズに活用できるよう支援する点にあります。また、行政書士自身が成年後見人として選任されることも可能で、財産管理や法律行為の代理を担うこともあります。
このように、行政書士は成年後見制度を利用する方々の生活を支える重要な役割を果たしますが、高い倫理観と信頼関係の構築が求められる業務でもあります。