忘れたくないこと

雨雲が歩く気力を奪う日はビニール傘が私を運ぶ

車窓よりスカイツリーを見送って北総線の高さ思へり

人ごみを誰にも見つからないように泳いでいたいひとりぼっちで

誠実ということだけは伝わるが モデルルームで虹は見れない

吹けば飛ぶような景色に立ち止まりあなたは歌う旅人の目で

あの曲のデモ音源なのかもしれないひょうたん山を吹き渡る風

風が鳴る耳にイヤフォン押し込んでしばしあなたの音楽を聴く

折れた傘駅舎に捨てるいつまでも人のしあわせ喜べずいる

ここに来た思い出としてコンビニのレシートさえも大切にした

女の子は窮屈だね 野良犬と暖をとるべく煙草を吸った

公園のベンチで開くお弁当 どう生きていくべきなんだろう

このお菓子火でできてるの溜息を吐けばもろとも終わらせられる

早足で通り過ぎてく交差点幸せになどなってたまるか

夕焼けが消えるところを見たいからもう少しだけここにいたいよ

ここへ来る前と後でも変わらない全く同じ身体が残る

明日の今は家のベッドで眠ってる 星座のように蟻たちは死ぬ

友達に手紙を書いた友達とずっとずっと友達でいたい

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