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「芝居作りの全てを舞台上に展開する」・・・さようなら、シュルツ先生

「さようなら、シュルツ先生」 座・高円寺1 MODE

全く、事前情報なしで拝見したので、
終演後、当日パンフレットの解説を読んで、そういうことか、と納得した。

アニメーション映画「ストリート・オブ・クロコダイル」の原作者ブルーノ・シュルツの短編を舞台化したもので、MODEは、稽古を積み重ねるうちに出演者の解釈や発想によって、演出や演技をきめていく手法を得意とするらしい。

おそらく若いころに何回か見ているかもしれないが、すっかり忘れていた。
というのも、しばらく東京での活動が無く、何年振りかの公演ということだ。

ただ、個人的な好みと感想なのだが、
原作のブルーノ・シュルツは、正直分からない。
おそらく原作は、結論の無い不条理劇のような世界を浮遊するような文学、
又、深く考察することで、多くのイメージや、比喩、隠喩などに思いをはせるように読んでいくものかもしれない。(今度機会があれば読んでみよう)

今回の舞台も、その原作通りの難解で、不条理の海の中に観客を漂わせるような作品だった。
昨今の舞台作品は、演技の理由付けと物語の明確な帰結が当たり前になり過ぎている、という声を聴いたこともあるが、それに対する答えの一つなのかもしれない。

パンフによると、分かりやすくなりそうなのを分かりにくいように方向修正していったように書かれていたが、そういう点では、狙いはその通りになっていたと思う。

それでも、頭の悪い私には、理解できなかった。
意識が途中で遮断しようとしてくるのだ。
前述の「ストリートオブクロコダイル」を見た時も、同行した人は
「面白かった」と言っていたが、自分にはその魅力がわからなかった。
今回の作品も、映画「ストリートオブクロコダイル」も、どのように楽しめば良いか、分かりやすく説明していただける方がいたらお聞きしたい。

それでも、
出演されている役者さんたちは、皆頑張っていて、その点での不満というようなものは無く、特に「鞭を振るう女教師」を演じられている女優さんはインパクト強かった。

演出も、とにかく広い舞台を存分に使った演出は面白かった。
両袖までオープンにして、衣装替えやスタンバイまで演劇に取り込んでいたり、舞台セットを役者自らが(一部は相談して)作り上げていく過程を描くなどの演出も興味深かった。

物語も、冒頭の年金おじさんと、ザリガニ父さんの話は、比較的わかりやすく好きだった。
結局、自分は分かりやすいのが好きで、難解なものを理解できるほど頭の持久力は良くないのだと思った。

今までも、映画の魅力は、「風邪をひいて辛いときに、見て元気が出るものが良い」と考えていたが、舞台ではつい、現実性、批判精神の有無と一緒に
楽しさを求めているし、難解なものなら、なんとか理解したいとも感じている・・・我ながらめんどくさい奴だ。




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夢乃玉堂
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