「とにかくパワフル」・・・朱の会アンコール公演
「波津子レディの肖像」「朝焼け」朱の会、主宰出演・神由紀子
本当にこの人はパワフルである。
朱の会などの神由紀子氏自身による朗読会は勿論、客演となる朗読会や舞台で実に力強い語りを展開している。
こちらが疲れている時など、ちょっと圧倒されて、引きこもりのように心を閉ざしてしまいそうになるほどだ。(例えが変かな?)
今回はそのパワフルさが他の役者たちにも伝染しているように思えた。それは出演者の一人が体調不良で出演できなくなったという事情もあるかもしれないが、実際の舞台ではそんな不安を何一つ感じさせなかった。相変わらず手慣れたスタッフの劇場運営も安定感を与えていて、不安を感じさせないのもその理由の一つかもしれない。
さて、上演作品の「レディの肖像」では、作家が作品に込めた仕掛けに観客を強引なまでに巻き込んでいく。
「朝焼け」は、二度目の観劇であるが、様々なところからの要望でアンコール公演となったという。こちらも運営同様に手慣れた感が出ていて安定していた。同じ内容なので今回私はいくつかの場面で目を閉じて音だけで体験しようとしたが、逆にラジオドラマとは違う演出の妙を見てみたくなり、たびたび目を開けて舞台を確認した。「音だけではないぞ」と舞台に引き戻されるのだ。
朗読会の可能性はまだまだ未知数で、これが正しいとか間違っているということは無い。だが何よりも会を実現するエネルギーこそが必要であると思う。
朱の会はこの先、12月24,25日、来年の4月にも公演を予定しているので、是非検索して体験してほしい。
余談だが、演じる役者自身は一つのキャラクターを通しでやらないことで、9回ツーアウトでリリーフに入られるような気分にはならないのだろうか、と感じた(それが良い悪いという事ではなく)。この先機会があれば、出演者たちに聞いてみたいと思う。