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「ここだからこそ! という値打ち」・・・さん生・駒塚由衣二人会
人生で遭遇する出来事の中には、「ここで体験しておいてよかった。
ここでなければならない」と思えるものがある。
「さん生・駒塚由衣二人会」は、まさにその一つだ。
俳優声優として活躍する駒塚由衣さんが、定期的に江戸人情噺を定期的に独演している吉原・桜鍋中江「別館金村」で、今回は落語家・柳家さん生師匠との二人会。
まず、さん生師匠の演目は、吉原花魁と染物職人との恋を描いた大ネタ「紺屋高尾」。
花魁道中が行われたという大通りに面したお店で、これ以上の演目はないであろう。話を聞きながら、この会場に至るまでの道すがらに林立する風俗店の姿が思い浮かんだ。
「あの辺りの高そうな店に有り金握りしめて駆けこむような気分だろうか、いやそれ以上に花魁は凄かったに違いない」という感じで脳内でのリアリティが非常に増していった。
続いて駒塚由衣さんは「猫頭の由来」。
あいにく不勉強で知らなかった演目だったが、それよりも何よりも、駒塚さんのキップの良いセリフの数々は、江戸の街中にいる気分になって、本当に聞いていて心地よい。
それともう一つ、今回題名の通り、ネコが話の中に登場する。
その部分を語る時の駒塚さんは、とても楽しそうだった。
ご自身も語られていたが、この吉原の会では毒婦・悪女が毎回のように登場する。それらを演じる時の、怪しく男を魅了する女の姿より、ネコを語っている時は可愛く見えた。(あれ? ちょっと失礼な言い方になってますかね。もちろん、毒婦・悪女は舌なめずりが聞こえるようなゾクゾクした魅力があります)。
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さて、終演後会場を出ると、周りではネオンサインが花盛りだった。
雨の気配を含んだしっとりと冷たい風が吹き抜けるすがしい気分。
別館金村の歴史ある造り。
木戸を締める時の手に伝わって来る感触。
それらが全て貴重なものだと再確認できる。それこそが、「ここで聞く値打ちがある」ということだと実感した。
15日まで、吉原・桜鍋中江「別館金村」にて。
今後も駒塚由衣さんの「江戸人情噺」は続くので、そちらもご興味のある方は是非。
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