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「サービスエリア」・・・超ショート怪談。話したのは誰。


「サービスエリア」

これはAさんが中学3年の時の、修学旅行のお話です。

私たちの修学旅行は、鉄道で東北の方に行って、
期間中の移動はバスを使う旅でした。

二日目の旅館に向かう途中、高速のサービスエリアで
休憩を取ることになりました。

「出発は30分後だ。買い物やお話に夢中になって遅れるなよ」

「は~い」

先生の注意なんかどこ吹く風、みんな自由気ままにお土産を買ったり、
休憩スペースで夢中になって話をしています。

私も、友達のB子、C美と一緒に
旅館で食べた食事や奇麗な風景について話していました。

すると、B子とC美が、

「ちょっとトイレに行って来る」

と言って揃って席を立って行きました。

私はあまり行きたくなかったのと、
女子が連れ立ってトイレに行くのが好きでは無かったので、
一人で待つことにしました。

ところがすぐに、B子が一人で帰ってきました。
なんだか少し怒っているみたいです。

「どうしたの?」

「どうしたのはこっちのセリフよ。今までどこにいたのよ」

「え?ずっと一緒にいたでしょ」

「いないわよ。私ずっと一人で探してたんだから。
レストランもお土産売り場も、ここだって二回も探したのよ」

「え~。からかわないでよ」

「からかってなんか、無いわよ」

「じゃあ、証明してあげるわよ」

B子が私の言葉を信じようとしないので、
C美に説得してもらおうとスマホで掛けてみました。

短い呼び出し音の後、少し強い口調でC美が出ました。

「何よ。A。何度も何度も」

「え?私今初めてかけたわよ」

「何言ってんの。今までずっと話してたでしょ。
旅館の料理が美味しいだの、景色がきれいだの。
B子が変な事言ってるだの、1時間くらい話したじゃないの」

「え? そんな馬鹿な。三人でたった今まで一緒にいたけど、
スマホは使ってないよ」

「ねえ。嫌がらせなら止めてよね」

「ごめんねC美。B子だけど、ビデオ通話にしてもらって良い?」

脇で聞いていたB子が入って来ました。
私も言われた通り、ビデオ通話に替えました。

C美はパジャマ姿で、自分の部屋の中にいるのです。

「ほらね。A。あんた、どうかしてるわよ」

言われて私は気が付きました。

C美は、出発前日にインフルエンザに罹ってしまい、
修学旅行に来られなくて自宅で療養していたのです。

その後、修学旅行の間中、ことあるごとに私はB子の手を握り、
一緒にいる様になってしまいました。
離れると、どこかに行ってしまうような気がしたからです。

帰ってからも、そんな気持ちは変わらず、いつの間にか、
トイレに行く時に二人に声を掛ける様になってしまいました。

            おわり


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夢乃玉堂
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