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「あわや正面衝突!」・・・海外ではご注意を。

年末年始に海外旅行を考えている方も多いと思いますが、
海外に慣れてくると、バスツアーなどで回るより、レンタカーを借りるなどして、自分で行きたいタイミングで行きたいところを回りたいと考える方も多いのではないでしょうか。

そんな時に気になるのは、その国の交通事情です。
今回は、外国の道で苦労したお話です。

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「あわや正面衝突!危機一髪!」

社会人3年目、麻田君がオーストラリアにプライベートで旅行した時、
初めてレンタカーを借りることにしました。

今回の主目的であったタスマニア島の、コアラを抱かせてくれる自然動物園は
駅などから遠く、分かりにくい場所にあるそうなので
車を借りることにしたのでした。

それにオセアニアは、車は左側通行。
車も日本と同じ右ハンドルなので問題ないだろうと考えたのです。

事前にレンタカー屋を調べて、予約なしで直接窓口に行くと

「NO」

とつれない返事。

『しまった。やっぱり予約しておけばよかったか』
と思ったのですが、よく聞くと
「昼休みだから13時にもう一度来て」ということらしい。

今12時50分。
少しくらい良いじゃないかと思ったものの、郷に入らば郷に従え。
15分ほど街を散策してから再度訪れると問題なく受け付けてくれました。

国際免許証と日本の免許証を見せて、書類にサインをして契約終了。

裏の駐車場に止めてあるという乗用車のキーを渡されました。

こういう時に、案内も見送ってもくれないのが、外国のあっさりしたところ。
全て自己責任でね。という事だろう。

最後に
「KEEP LEFT・・・」

と何度も言われ、日本も同じだから大丈夫と答えて、裏の駐車場に回りました。

キーに書かれているナンバーを探すと、トヨタ車でした。
確かに右ハンドルです。

乗り込むと、ハンドルに「Keep Left」と書かれた紙が貼られていました。
右側通行に慣れた外国人に対する警告なんですね。

麻田君は逆に安心しました。
「安心しなよ。こちとら、左側通行には慣れてるんでい」

などと意気込んで、駐車場を出て大通りを左に曲がると、
いきなり正面から車が走って来ます。

「うわ! 何で右側通行してるんだよ!」

と日本語で叫ぶとその車は麻田君の車をかわして走り去っていきました。

「あぶねえな~」

と安心する間もなく、そのすぐ後ろからもう一台やってきて、
クラクションを鳴らして睨みながらすぐ横を走り去っていきます。

「何だい。間違えたのはそっちじゃないか」

麻田君はぼやきましたが、
「待てよ。二台も続けて走ってくるのも変だな」とすぐに冷静になりました。

車を道路脇に止めると、改めて車の流れを見ます。

どの車も前から木て後ろに通り過ぎていきます。
そして、ドライバーはみんな怒った顔をしているのです。

「まさかここだけ右側通行? そんな筈ないよな。
俺の車に何か問題があるんだろうか」

麻田君は外に出てぐるりと一周車を見て回りますが
これと言って怪しいところは何もありません。

改めて周りを見てみると、
標識がみな後ろ向きです。振り返って後方を見ると、ちゃんとした標識です。
しかも地面の表示は、皆後ろに向かって矢印が伸びています。

「しまった。この道は一方通行だったんだ」

駐車場の前の道は右に向かって流れる一方通行の道で、
麻田君はその道を左に向かって走り出してしまったのです。

思わぬ落とし穴でした。
左側通行だからと言って油断は出来ません。

「危うく大事故になるところだった。
そう言えば、店員が最後に「・・・WAY」って言ってたような気がする。
あれは、OneWay(一方通行)と言ってたんだ」

麻田君は、車の流れが途切れるのを待ってレンタカーをUターンさせた。

その後無事にタスマニア島観光を終えたのですが、
日本に帰って来てもしばらくは、常に車の流れを確認して走る
超安全運転になっていたのでした。

                     おわり



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夢乃玉堂
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