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「〜卒寿 まだまだ・・・〜」
譚倶楽部 第38回本公演「〜卒寿 まだまだ・・・〜」
卒寿!
今年90歳、筈見純さんの語りの技に惹きこまれる。
「技」と書いたが決して小手先の技術などではない。
長年の経験と、池波正太郎をはじめとする江戸時代小説への愛情が醸し出す
表現の力と艶である。
分かりにくいので、説明すると(説明しても分からないかもしれないけれど)、
例えば、仕掛人の梅安が使う「針」。
筈見純さんが語る文章の中に「針」と出て来ると、殊更説明する文章が無くとも
その針の鈍いきらめきが頭に浮かぶ。
「酒」と出て来ると、何となく香りが伝わってくるような気がする。
そんな艶のある言葉の積み重ねで、あっという間に観客たちは取り込まれる。
魂をむんずと掴まれるのである。
今回、その語りの秘密に少しだけ近づけたような気がした。
というのは、最終日昼の回で、筈見さんが、江戸の売り声を披露してくれたのだ。
神楽坂トンボロでの「素読みの会」でご一緒させて頂いている森章二さんが
やはり売り声の魅力を話された時感じたことが、今回も同じように感じられ、
さらに確信に近づいた。
少年の頃に街中で聞いていた「売り声」の、聞き手に伝えようとする気持ち、
購買意欲をそそろうとする色気、そういうものに満ちたセリフ(売り声)に
小さい時から触れている事で、言葉に艶と色気を乗せる術を自然と身に着けているので
はないだろうか。
言い過ぎかもしれないが、セリフを聞かせる力、魅力の何割かは
そうやって培われるのかもしれない、と思った。
今回は、ご自身の単独公演を終えたばかりの駒塚由衣さん、
得意のシューシャインボーイを披露された中野順ニさんなどの客演もあり、
実に充実していた。
次回公演も今から楽しみである。
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