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「ゴーストフォン」・・・超ショート怪談。幽霊の声が聞こえる。


変人で有名はエヴァンス博士が、ついに幽霊の声を聞くヘッドフォンを
発明した。
ある種の音波を聞かせることにより、鼓膜の感知能力に新たな力を与え
幽霊の声を聞くことができると言う。

エヴァンス博士は、早速自分の耳にそのヘッドフォンを付けてみたが、
3分も経たないうちに、取り外した

助手のスコットが慌てて聞いた。

「博士。どうしたんですか?失敗だったんですか?」

「いいや。発明は大成功だ。すぐに幽霊たちの声が聞こえて来た。
幽霊たちの言葉は恨み言がほとんだだった。
アタシの代わりに仇を討って
憎いあいつを殺してくれ
この傷みをあの女に味合わせてくれ・・・だがそんな事は想定の範囲内だ。
その程度の事は予想していた」

「ではどうして」

「実は今まで黙っていたが、わしは亡くなったエレンの声を聞きたくて
この機械を作ったのだ」

「奥様の声が聞こえなかったのですか?」

「違う。はっきりと聞こえた。
あの女、エレンは、幽霊になっても男どもを次から次に手玉に取っておった。
体が無くとも、快楽は味わえるそうだ。
その為、毎日、いや、毎時間、若い男と闇の中で逢瀬を楽しんでいると言いおった。全く反省をしとらん」

エヴァンス博士は、次の瞬間、ただ一台の発明品を叩き壊し、設計図を
ストーブに放り込んで燃やしてしまった。

「これでは・・・これでは殺した甲斐が無いではないか」

エヴァンス博士はその場に膝を着き、頭をかかえて涙を流した。

       おわり

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夢乃玉堂
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