超高齢化と少子化を同時解決するスキーム
今まで6回に渡って解説してきた「超高齢化と少子化問題を同時に解決したい」という話題だけど、いよいよ初期のクライマックス。クライマックスなので少し長いけどおつき合いください。
まず、超高齢化と少子化問題を同時に解決するにあたり、注目したのは利害関係が一致する介護業界であることは前回説明しました。
やりたいことは、介護を受ける側の高齢者が、介護をする側の若い介護従事者に対して(彼らが子どもを持っても安心して生活できるくらいの)資金を投資するっていう構図。投資の代わりに得られるリターンは、介護の質が上がることによるQOL(生活の質)の向上と、未来の子どもたちに自分たちの資産が役立っているという社会貢献に対する満足感。
この辺りの投資対効果が十分であるか?についてはこれからたくさん議論していかないといけないと思うけど、一旦はこのような考えを持っているということがわかってくれれば嬉しい。
ではさっそく具体的なスキームの話に移りたい。
私が考えるスキームは、まず(会計監査が厳しい)認定NPOをファンドとして新設することから始まる。一連の流れとしては、以下の通り。
介護が必要な高齢者(または家族)が認定NPOに相談
ケアマネによる介護プランの策定
税理士等による資産の棚卸し、相続税等の試算
介護費用、相続資産額、投資(寄付)可能金額の提示(認定NPO→高齢者または家族)
介護費用の支払い(高齢者または家族→認定NPO)
投資(寄付)金の支払い(高齢者または家族→認定NPO)
介護費用の支払い(認定NPO→介護施設→介護従事者)
子ども手当として介護従事者へ直接支払い(認定NPO→介護従事者)
当然ながら、まだ大雑把な状態なので、これから詰めていくとして、大枠のスキームは上記のとおり。
課題はたくさんある。まず、ファンド設立のためにファイナンスのプロフェッショナルが必要。加えて法律面での問題もでてくると思うので、法律や税金のプロフェッショナルも必要。認定NPOもどうやってつくるんだ?というところからスタート(笑)。介護業界へのリサーチもまったく進んでいない。特に若い介護従事者の方々や、介護を受ける高齢者の方々へのヒアリングもこれからという状態で、具体的な課題まで至っていないのが実情。
一方で、未来の子どもたちに投資したいという高齢者が現れてくれると、資産の棚卸しが必要となるため、家族としては相続税問題を事前に話し合うことができるというメリットもある。若い世代の子ども手当も微々たるものではなく、子ども一人あたり月額10万円くらいは出せるようにしたい。今の政府の手当てが3歳未満で月額15,000円/人、その後は10,000円/人で15歳まで、しかも所得制限つきなので、それに比べたらインパクトは大きいと思う。
いやいや、お前何言ってんねん。原資はどないするん?という声が既に聞こえている(笑)
原資については前回少し触れたが、60歳以上が抱える金融資産が1200兆円あるということが正しいと信じるとして、その10%をファンドに投資してくれたとすると、120兆円。子ども一人あたり月額10万円とすると、年額120万円/人という計算。成人までサポートするとして、18年、いやわかりやすく20年にしよう。
その場合、
子ども一人あたり 年間120万円 ✕ 20年 = 2400万円
となり、120兆円だと500万人の子どもを20年間サポートできることになる。超ざっくりと120兆円の予算の半分を介護費に充てたとしても、250万人はサポートできる計算になるよね。間違ってたら指摘してください。
介護職の人口は2040年には280万人必要とされていて、これもざっくりと半数が20〜30代の子どもを持つ層だとしても、介護従事者1人あたり子ども1人以上カバーできるようになる。
介護職は2040年に69万人不足すると言われているが、仮に120兆円のファンドが設立できたとしたら、介護職の給料も大幅に上げられると思うし、子どもを持つと更に豊かになる状況が生まれると思うので、介護職を目指す人が溢れる買い手市場を作ることも可能になるのではないか?
ファンドの原資が底をつく頃には、ある程度景気も回復して、出生率が死亡率を上回る状況を作れたらメイク・ジャパン・グレート・アゲインが成し得るんだと思う(笑)トランプは支持していないが。。
そんな妄想を持ちつつ、実現化に向けて地道に動いていこうと思うのである。介護業界の方、未来に希望を託したい高齢者の方、ファイナンスのプロの方、弁護士さん、税理士さん、その他士業の方、ぜひ忌憚なきご意見をお寄せください。