JASRACから音楽を守る党、から日本を守りましょう


 JASRACから音楽を守る党の代表の動画を視聴しました。以前から生放送等で批判を展開していたと言う事なので、調べてこの程度ですかというのが率直な感想です。
 
 リプでも投げましたし今までも指摘していますが、著作権は他国と足並みを合せる必要があるもので、スマホ課金も音楽教室からの徴収も足並みをそろえるためのものです。スマホ課金や映画への利用料金変更は海外からの要請ですし、音楽教室からの徴収の件も海外では音楽教室から徴収しています。
 
 JASRACの場合、海外の著作権管理団体との提携により徴収、分配を行っており代理店としての側面があります。JASRACは民間組織ですから足並みをそろえられなくとも言い訳が効きますが、法律でこの代理店の営業、徴収に制限をかけるとなれば国が制限をかけたことになり貿易、外交の問題に直結します。

 海外で音楽教室から徴収している以上、我が国の楽曲が練習で使われた際には日本の作家にお金が流れます。しかし法令でこれを禁止した場合、国内で利用された海外の楽曲の利用料金は海外に流れません。他国には我が国の楽曲は財産だから取ってこい、国内では他国の楽曲は財産とは認めないと法律で決めた場合、これは国のメッセージです。不当な扱いとして必ず貿易の問題に発展します。

 例えば先日韓国のホワイト国除外に対して韓国から日本に対してWTO11条違反だとWTOにて問題提起がなされました。結果としては成果は無かったのですが、これは2国間の問題であったため関わりたくないと言うような状況であった為です。仮にJASRACの徴収を阻害するとなれば、1国だけではすみません。JASRACの提携先は100ヵ国4地域に及びますから、これらからクレームがつくことになります。立ち上げ準備中のツイートをされてすぐこの件について質問を投げかけましたが一切回答を得られていません。お話した限りでは、少なくともアカウント作成時点では対策はおろか貿易問題になるという想定すらしていません。

 F-35の防衛ネットワークも他国との協力が必要ですが、最悪の場合著作物全般の利用の制限という制裁になりここへの遮断が行われると国防すらままならなくなります。国防、外交、貿易、多々弱みを見せる事に繋がりますがどのように対策を取られますかとお聞きした際に得られた回答は、「JASRACの問題行動を是正する政策を目的としておりますので、ご指摘の点は関係ないかと思います。」でした。国政政党として想定が甘すぎると言わざるを得ません。視野が狭すぎます。
 
 また国家間の貿易の制裁にならなくとも、稼ぎにならないので海外企業が日本向けコンテンツから自主的に手を引くという事も十分考えられます。特に映画は上演権に音楽の演奏は含まれていませんから、映画館での上映は配給しないという事も十分にありうる話です。よくJASRACのせいで町から音楽が消えたと揶揄されますが、JASRACから音楽を守る党のせいで映画館から洋画が消える可能性は十二分にあります。
 
 一方で疑問視をされている分配ですが、分配をより明確にしようと思えば統計を廃止するほかありません。廃止するには全曲報告が必須です。世の中の店舗で今日は何をかけた、何をかけたというものを全て報告する義務を法令で課す他ありません。これは著作権の権利を拡大する方向で、すなわちJASRACの権利を拡大する方向となります。同時に、義務化されれば業務の煩雑さからいってBGMを流したがる店舗は減るでしょうから、揶揄されている町から音楽が消える状況に大きな一歩を踏み出すことになります。これはJASRACのせいではなく、そういう法案を通す努力をしたJASRACから音楽を守る党及びそれに投票した有権者の責任です。本末転倒ですね。

 余談ですが現在でも店舗からの利用楽曲の報告は受け付けています。配分の明瞭化の為に必要な呼びかけは、各店舗への楽曲報告推進ではないかと思います。が、これは嫌がるお店が多いでしょう。ライブハウスが利用報告しているのだから店舗も出来るはずとのご意見いただきましたが、ライブハウスは5バンドですと25曲ですし、最近は土日ぐらいの営業しかなく、多くても週に80曲程度です。12時間営業する店舗であれば一曲5分としても1日144曲ですから、文字通り桁が違います。

 さらに音楽の著作権という物を管理運営しているのはJASRACだけではありません。NexToneなどももちろんありますが、個人で管理されているものも多数あります。一方で法律という物は国民全体に適用されるものですから、JASRACだけを是正するために法改正を実施してはその他の物も巻き込まれてしまう事になり、極めてバランスの悪い結果をもたらす提案であります。
 
 率直な感想としてJASRACから音楽を守る党の稚拙な意見は国難を招くものです。特に徴収への法改正は貿易上極めて慎重に行わねばなりませんが、貿易の問題にもなると言う発想が無い時点でここへの配慮はないものになりかねません。せめて自分に近しい方々は絶対に賛同しないよう、お願い申し上げます。
 
 有権者として、JASRAC憎しの感情論で投票しては民主党政権の二の舞になります。しっかりと政策がもたらすであろう問題、対処、実行力があるかどうか見極めて下さい。


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