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esports業界での情報リークがダメなワケ

先日、とあるゲーム大会の主催者による告知ポストで、正式に発表されていないチーム/選手の情報リークがあり話題になりました。

あるチームと契約満了した選手が、別のチームとして出場するとしたもの。
真偽は公になっていないですが、これがもし間違った情報だとしたら当たり前ですがNG。
もし正しい情報だとしてもチームからの公式発表前の情報リークなのでNG。
どっちにしてもNGで、いわばルール/マナー違反です。

esports界において、新規加入選手の情報というのは超重要事項のひとつ。
その発表タイミングや方法は、各チームが入念に準備しているだけでなく、スポンサーなど他関係者との綿密な連携の末にやっと決められるものであり、関係するすべてのプレイヤー、チーム、大会主催者はその情報のステータスに細心の注意を払うべきとされています。

では、なぜ情報リークがダメなのか。その理由について考えてみました。


契約交渉の複雑化

選手とチームの間の契約交渉は繊細なプロセスで、情報が漏れることで交渉の進行が複雑化する恐れがあります。
また、情報が他チームに知られた場合、彼らが同じ選手に興味を示し競争が激化する可能性も。

その結果、契約金が不当に釣り上がり健全なチーム経営の妨げになりえます。
現実的に運営を維持できないほどの契約金が高騰し、しまいには部門をたたむまでに追い込まれてしまうというケースも。
それはコミュニティ全体の死につながりかねないことなのです。

もちろん、選手個人にとっては契約金が上がれば上がるほど短期的にはうれしいことと思います。
しかし長い目でコミュニティ全体への影響を考えると、競争の激化が与える影響を慎重に考慮する必要があります。

チーム内の安定性

選手が新しく加入する場合、それに対するチーム内の適切な調整期間が必要です。
情報の流出があると、チームの安定性に影響を与え、プレーヤーやスタッフの不安感が生じる可能性があります。

一体だれが情報を漏らしたのか?
その情報はどこまで拡散されてしまったのか?
情報の精度は?
戦術は漏れていないか?(トライアウトの際に、チームの戦術を一部共有したりすることがあります)

情報リークはチームやスタッフ間の信頼関係を損なう恐れもあり、情報統制を厳しくすることにもつながり、それはチーム内の円滑なコミュニケーションや連携の妨げになります。

また選手の情報が漏れると、他チームは自チームが持つ特徴や戦術を把握しやすくなります。
これが敵にとって有利に働く可能性があります。

スポンサーシップへの影響

スポーツビジネスの大きな支えのひとつが、スポンサーシップです。
チームは各企業とスポンサー契約を結んでおり、リークによりその価値が低下することがあります。
スポンサーは情報の管理に敏感であり、信頼を損なう可能性があります。

新しい選手の加入が注目されると、チーム全体の広告価値が変動する可能性があります。
成功した選手の加入はポジティブな影響を与え、スポンサーシップ契約の価値が上昇することがあります。

また、リークされた選手との契約がまだ済んでいない場合、その選手に個人的な問題やトラブルがないかを調査/検討している最中である場合も。
争議の的となるような選手の加入は、スポンサーにとって広告が負のイメージに結びつく可能性があり、結果としてブランド価値の低下が懸念されます。
最悪の場合、スポンサーが契約を中断または撤退する可能性もあります。

このような結果は、チームにとっても数千~数億円の損失を招き、コミュニティ全体の成長の妨げにもつながってしまいます。

ファンの興味の低下

選手の加入はファンにとって重要な情報であり、事前にリークされることで発表の瞬間の興奮が減少し、ファンの興味が低下する恐れがあります。

情報を適切なタイミングで発表することは、チームにとって大切なメディア戦略の一環です。
チームは計画的に情報をコントロールし、ファンエンゲージメント(チームにとっても感動的な瞬間です)を最大化することで、ファンやコミュニティ、スポンサーとの関係を強化できるよう努めています。

そのためにチームは予算をかけ手の込んだ発表プランを準備し、グラフィックやムービーなどを制作。
みんなにとって楽しいことを用意しようと日々あれこれをアイデアを巡らせているのは、コミュニティとのコミュニケーションの一環です。
各チームのクリエイティブスタッフは、より多くの刺激や興奮を提供できるように、長い時間をかけて計画実行しているはずです。

情報リークは、こうしたチームの努力を台無しにしてしまうことなのです。


esportsチームは、様々な角度から情報を精査し、情報リークを最小限に抑えることに注力しています。
それによってチームや選手だけではなく、esportsコミュニティ全体の長期的な成長を目指せるのです。


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