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「〜中」は〈行動〉にしか使えない

故障中〉という表現は日常的に目にするし、だれも疑問には思わないだろう。しかし、ものの本(*注)によれば、「〜中」は人間が主語の場合にしか使えない。本来は「故障」とするのが正しいそうだ。

「〈冷房中〉はいいの?」とキミは思うだろう。件の本では、部屋を冷やしているのは人間だから問題ないと述べている。

言語学者の先生にケンカを売るつもりは毛頭ないけど、「故障中」が誤用なのは、機械が主語になっているからではなく、〈状態〉を表わしていることが理由だとボクは勝手に解釈している。つまり、「〜中」は〈行動〉でないと使えないのだ。

「〈行動〉をするのはつねに人間なのでは?」という考えがキミの頭に一瞬よぎったかもしれない。待ってほしい。〈行動〉の主語は人間とはかぎらない。「ネコが食事中」は許されるはずだ。では、パソコンの画面に表示される「再起動中」は? キミは「ユーザー(人間)が再起動している」と考えるかもしれないが、画面に表示されれば、パソコンが「あなたが再起動している」と言っていることになる。それはなんだか気持ち悪い。

だから、やはり「〜中」は(主語を問わず)〈行動〉にしか用いないと考えるほうがスッキリする。

*注:国弘哲弥『日本語誤用・慣用小辞典』(講談社現代新書)

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