成熟か衰退か。
クリスマスがカレンダーの上にその姿を現すと、街は俄然鈴の音とクリスマスソングで彩られる様になる。
ここ数年、夏が長く秋が随分と短い印象なので涼しくなったと思ったらあっという間にカボチャを横目に見つつサンタがダッシュでやってくるのだ。
日本がまだ世界に名だたる経済大国と呼ばれていた頃、どの街も(当時は人気のあった)テレビや雑誌といったメディアもまさにクリスマス一色だった。
それに付随したファッションやグルメやデートなどありとあらゆることが大量に発信されていて情報の洪水(今のSNSに比べれば大したことはないけれど)になっていた。
当時の若者たちはそれを必死に咀嚼し自分のものとして消費し、世の中の経済は大きな弾み車の如く高速回転していたのだった。
その若者達が親となり家を持ち子供を育てる様になった頃、クリスマスの大騒ぎは家庭に持ち込まれ大袈裟な装飾や果ては電飾を家に飾る輩も現れた。
時はすぎ、かつての若者達は落ち着いたシニアに(またはシニア予備軍に)昇華した。
狂乱の時を経て、今の街角は落ち着きの中に少しだけ華やかなクリスマスを感じることができる
日本は経済大国の名を捨てるかわりに落ち着きを手にいいれたのかも知れない。
寂しがる向きも居なくはないだろうが、このくらいの静けさがいいんじゃないかな、と思う。
自宅で街で大切な人と大切な時間を過ごすきっかけや口実になればそれでいいのだ。