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第二巻 巣立ち  1、神明中学

1、神明中学

※この小説は、すでにAmazonの電子版で出版しておりますが、より多くの人に読んでいただきたく、少しづつここに公開する事にしました。

 俺の名前は、横田宗助、中学二年の新学期に大森三中から神明中学に転校した。俺は自分では環境適応力抜群だと思っていたので、転校してもたいした変化はないだろうと思い、たかをくくっていた。しかし、転校というのは、想像以上に精神的に大きな負担になるものだった。

 神明中学というのは、中央線の西荻窪駅から十五分くらい南のところにあり、杉並区の真ん中にあってほとんどの学生が山の手の子供だった。また、区立中学校だが有数の進学校で、かなりの学生が毎朝、西荻窪駅から通って来る、いわゆる越境入学というやつだ。俺もその一人だった。毎朝、駅で何人かの友人と待ち合わせて学校に行った。しかし、学校の雰囲気は大森三中とはかなり違っていた。

まず、学校で決められた校服というものがなく、カルチャーショックを受けた。男子はそれでも学生服の奴も多く、俺もそうだった。俺は、おしゃれという感覚がまるでなく、毎日同じものを着ていけるのは便利で好都合だった。しかし、女子学生が私服なのはやはり大きな違いがあった。学校がすごく華やかだった。それでも奥手だった俺には、あまりピンと来なかった。

 入学して早々に驚いたのは、教師にいじめられたことだった。俺は、それまで学校では先生からはよく叱られたが、けっこう優等生で教師には可愛がられることが多かった。しかし、ここでいじめにあって、その種の先生がいる事を初めて知った。教師もただの人だから、好き嫌いがあるのは当然だと思って、初めのうちは大して気にもしなかった。

 転校は誰にとっても 辛いもの 仲良い友が どこにもいない

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