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カルシウム吸収力アップ!可溶性トウモロコシ繊維が腸内フローラに与える影響について

わたしたちの骨は、常に古い骨から新しい骨へと生まれ変わっていることをご存知ですか?

骨量は20歳ごろにピークを迎え、その後少しずつ減少していきます。

女性は女性ホルモンの減少に伴い新たに作られる骨の形成スピードが遅くなり骨量が減少するため、男性に比べて骨粗鬆症のリスクが高くなると考えられています。

骨粗鬆症の予防の1つとして、将来の骨量の減少に備えてピーク時の骨量を高くすることが有効と考えられています。

そのため、骨の主要な成分であるカルシウムの吸収量が最大になる思春期の時期にしっかりとカルシウムを摂取・吸収して骨量を増やしておくことが重要です。

また、骨量のピークを過ぎた年齢の方も、できるだけ骨量を減らさないよう、新しい骨を作るスピードを高める生活習慣をつづけることで骨粗鬆症の予防に役立ちます。

新しい骨の形成力には、カルシウムの吸収力が影響しています。

そして、最近の研究により、このカルシウムの吸収力を高めることに腸内フローラが関係していることがわかってきました。

そこで、今回は、アメリカのパデュー大学の研究グループが発表した、食物繊維の摂取が腸内フローラとカルシウム吸収力に及ぼす影響に関する論文を紹介します。


1、研究の背景

この論文が発表される以前に、筆者らの研究グループは、腸内細菌の栄養源となり腸内フローラに良い影響を及ぼすと示唆されている食物繊維をコントロールされた食生活の中で摂取することにより、カルシウムを摂取した際の体内への吸収量が増加すると報告しました [1] 。

そこで本論文では、「食物繊維の摂取と腸内フローラの変化及びカルシウム吸収力増強の関係」に着目し研究を行いました [2]。


2、実験方法

思春期の女性28人を対象に、食物繊維の一種である可溶性トウモロコシ繊維を4週間の間普段の食生活の中で毎日10g又は20g摂取するグループと、摂取しないグループの3つに分けました。

それぞれのグループから糞便サンプルを回収し、糞便の状態と腸内フローラについて解析を行いました。

また、4週間の試験期間後にカルシウム摂取時の吸収量と新規骨形成の活性を測る指標であるBAPについて調査し、食物繊維摂取後の腸内フローラの変化とカルシウム吸収力及び新規骨形成に及ぼす影響について調査しました。

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