![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/98200192/rectangle_large_type_2_82e288b2bcc1546ecd302b42e4418388.png?width=1200)
【妻に捧げる読書note】地頭力を鍛える(by 細谷功)
自分の思考がなかなか相手に伝わらない。特に情で押しとおせない、仕事上のやり取りで難しさを感じていたので読んでみた。
要点
地頭力があるというのは、考える力があるということと定義する。地頭力をさらに、「結論から」「全体から」「単純に」考える力の3つと定義する。
地頭力を鍛えるために、フェルミ推定を利用する。正確な数字を出す問題ではなく、短時間で少ない情報からだいたいの数字(答え)を出すというこの問題が、地頭力の3要素を鍛えることに有用である。
「結論から考える」仮説思考力:
ポイント:どんなに少ない情報からでも仮説を構築する姿勢、前提条件を設定して「先に進む」力、「時間を決めて」とにかく結論を出す力
やり方:ベクトルを逆にする。逆算する。例えば、「はじめ」ではなく「おわり」から。「できること」からではなく「やるべきこと」から。「自分」からではなく「相手」から。
例えば、何かを伝えなければならないとき、誰に何を伝えれば終わるのか、何を伝えるべきなのか、相手に何が伝わるべきなのかから考える。プレゼンなどでは、①この報告が相手にとってどういう意味があり、②相手にどうしてほしいか、から始める。
「全体から考える」フレームワーク思考力:
ポイント:誰しも思考の癖がある。フレームワーク思考でその癖を取り払う。まず、全体から部分への視点移動を常にし、部分をフレームワークに当てはめて分類し、最後にボトルネック思考(全体の精度は一番精度が粗い部分に引きずられる=ほかの部分を緻密に計算しても意味がない)で結論を出す。
やり方:課題に着手するときには、必ず「一歩引いて考えてみる習慣をつける」。大きな視点で全体を定義したら、その部分をフレームワークに当てはめて分解する。フレームワークは既存のものを使うと効率的。MECEが保たれやすい。分類した中身を分析していくが、その際には、全体を再度俯瞰し、どこがボトルネック(粒度が粗い、または遅いなど全体の品質を下げる箇所)になっているかを見極め、それ以上の精度にはどうやっても到達しないことを把握したうえで結論を出すと良い。
「単純に考える」抽象化思考力:
ポイント:一を聞いて十を知る。具体的な事象を(些末な枝葉を切り捨てて)モデル化し、一般的に応用可能なものとして分析したのち、再度具体化して当該事象の解決策を論じる。
やり方:モデル化するには、図解して考えることが有用である。例えば、日本地図を考える際、思い切って長方形でモデル化するようなイメージ。この際に、枝葉を切り捨てるのが困難な場合がある。特に、その分野に精通している人、情報を多く持っている人は、どうしても大胆なモデル化ができず、(結果的には些末な)情報に引きずられて非効率になってしまうことが多いことに気を付けるべきである。モデル化した後、アナロジー(類推)で考える。他の一般的な課題解決や問題などの応用ができないか、一度目の前の事象が特殊であるという思い込みを捨てて、他の問題の応用を考える。そこで見つかった解決策を再度具体的な事象に合わせて、問題解決を行う。
モデル化でシンプルに考える力は、30秒で説明する訓練をすることで上達する。要するにそれは何なのか、ということを考える癖をつけると、どんなものでも30秒程度で説明できるようになる。また、アナロジーを鍛えるには、なぞかけが有用である。AとかけてBと解く、その心は~というのがなぞかけであるが、この心がAとBの共通点となっており、アナロジーを鍛えることができる。
地頭力のベースとして、「論理思考力」と「直観力」がある。論理思考力は万人に理解されるための、いわば守りの能力であり、直観力は新たな概念を生み出したり、先のモデル化などで思い切ってシンプルにする際などに発揮される重要な攻めの能力である。また、一番のベースには知的好奇心があり、特に、問題解決への好奇心(クイズを解こうとする≠答えを知ろうとする興味だったり、推理小説をワクワクしながら読むような好奇心)が重要である。これらを磨くために、たとえば「勝手にテコ入れトレーニング」というものがある。例えば、レストランに行ったり、CMを見たりしたときに、勝手に「自分だったらこうする」というのを常に考えてみることである。
さらなる地頭力を鍛えるために、以下のトレーニングがおすすめ
常日頃から目に映るものに対してフェルミ推定を考えてみる
その日に入ったラーメン屋の儲けを売り上げと経費から推察するなど
何か商品やサービスのアイデアが浮かんだ時に、それを何人の人が勝っていくら儲かるかを3分間で考えてみる
最後に、地頭力を鍛えることに加えて、人の感情にも敏感な人でありたい。両者は相反する能力の側面を持つ。夏目漱石の言葉に、「知に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。兎角に人の世は住みにくい」という文章がある。この「知に働く」と「情に棹さす」をバランスよく使える境地を目指して努力したい。
響いた内容
自分に足りなかったビジネス的な思考能力が全部書いてあるのではないか…。読み進めるにつれてつらくなりながら、でも今後の仕事が楽しみで仕方がない感情に襲われた。この本に書いてあることを実践しながら、地頭力を鍛えていこうと思う。
こんな人に読んでほしい
なんとなく自分の思考が空回りしている気がする人。