『失敗図鑑』を読んだぞ! 物事の本質を易しく丁寧に子供も学べる本でした。
今日読んだのは、『失敗図鑑 すごい人ほどダメだった!』(大野正人/著 文響社)です。
誰もが知る偉人達の失敗を紹介しながら、そこから分かること、学べることが子供たちへアドバイスするように書かれています。
全ての漢字にはふりがなが振られ、難しい言葉は使われておらず、極めて易しい文章になっています。また、ですます口調、豊富なイラスト、大胆な構図からも児童向けであることが分かります。
ただし、子供も読める作りになっているからといって、大人にとってつまらない、幼稚な本であるかというと、そうではありません。
しばしば私たちは、児童向けの推理小説が物足りなく感じたりすることがありますが、『失敗図鑑』は、易しい文章ながらも鋭い視点を持って、その失敗、あるいは人の生きる世界が分析されています。
「子供向けに偉人の失敗を紹介する図鑑」というと、単に失敗を面白おかしく表現する軽い読み物か、あるいは「偉人も失敗してるんだから、君たちだってしていいんだよ~」みたいな内容を想像するかもしれません。もちろん、それらは要素としては含まれていますが、この本の役割はそれだけに留まらない。
・失敗を成功につなげる方法
・同じ失敗をしない方法
・失敗したときに、そのトラウマや心の傷から立ち直る方法
・他者の失敗を見たときに、自分がとるべき行動
など、偉人の失敗から学べることが具体的に、そして多角的に書かれています。
特に私が「すごい!」と思ったのは、最後の「他者の失敗を見たときに、自分がとるべき行動」が書かれていた点です。
他の人の失敗を笑ったり、自分より劣った人や作品・行動をけなしたり、昔の間違いをいつまでもグチグチ責めたり、揚げ足をとってみたり・・・・・・、私たちはふだん、悪意のあるなしに関わらず自然とこのような行為を取ってしまうことがあります。
特にSNS上ではよく行われていて、いつも誰かが傷ついています。
もちろんこれらは「してはいけないこと」であり、この行動そのものが「失敗」です。でも、人間ですから時にはしたくなります。『失敗図鑑』には、このような行動をとるときの心構えも記されています。
生きていれば、傷ついたり傷つけたりして、心が疲れることがあります。また、自分の未熟さゆえに失敗して、後悔したり自分を責めたりすることもあります。他の人の失敗がとんでもなく許せないこともあれば、外に出るのが嫌になるほど落ち込むこともあります。
そういうネガティブな感情になったとき、次の行動の指針を与えてくれる本であることは間違いありません。名言集やヒーローの登場する漫画も、私たちに勇気や元気を与えてくれますが、より具体的に「で、結局自分はどうすればいいの?」を解決してくれると思います。
あっという間に読めるので、ぜひご覧ください。