塩
さて、煙について先日書いたので今日は似たような話で塩の話をしてみようかとおもう。
不思議な話を収集していて時々思うのが、誰かにとっての魔除けが誰かにとっては引き寄せてしまうものになる、ということは少なくないのだなあ、ということである。
先日の煙の話もそうであるし、本日のテーマ、“塩”についてもそう思うことが多々ある。
私は昔から良くない場所へ行ってしまった時やちょっとおかしい時などは帰宅時に塩を舐めさせられる。
そして家へ入る前に自分の体に撒いたりもする。
ただ、考えてみるとテレビなどで見るような、どこかに向かって塩を撒くとか、何かに向かって塩を撒く、ということは一切ない。
大抵塩は自分自身に使うことが多い。
これはもしもそうなった時に是非一度試して見て欲しいのだが、もしも自分の中に何かが入り込んでしまったとき、塩を舐めてもなんの味も感じないらしい。もしそうなった場合は取り敢えず塩の味がするまで舐め続けろ、と昔友人が教えてくれた。
実際私もそういった経験をしたことがあるし、その時は大抵ああこれは良くない、となんだか本能的に思う時なのでこれはいざと言う時には試してみてほしい。(言ってみれば応急処置だ。)
沖縄の家庭では多分調理用の塩だとしても大抵島マース(いわゆる粗塩)を使っていると思うので何も考えず使用して問題ないと思われる。
とまあここまでは魔除けとして塩が効く場合の話だったが、これが逆の作用になる場合とはどんなときか。
これは凄くはっきり視える、感じるという人たちに多いのだが、その人たちに言わせてみると、
“塩を持ってるとそういうことが判る人だとあちら側にバレて寄ってくるから絶対に持ち歩かない。”
ということなのだそうだ。
これはこぼれ話だが、
怖いものが寄ってきた時に母親に持たされていた塩を握りながら知らないふりをしていたら、“それ”が近くに寄ってきて
『そんなものは効かない。自分たちが何より怖いのは“サン”だ。』と言われた。
というような話を聞かせてもらったことがある。
アドバイスをくれるなんて、なんて良心的なお化けなんだろうと思った記憶がある。
(因みに“サン”はススキの葉っぱを結んだ沖縄に古くから伝わる魔除けである。)
まあ考えて見たら塩を使うとしても舐めるだとか自分に向かって撒く、といった話がやはり人に聞いてみても多いので、そういう存在自体をどうにかする、というよりは自分から離れてもらう、という使用の仕方が多いのか、という印象なので、その存在自体には効果はないのかもしれない。
となると塩の使用はお祓い、というよりも自分の身体を浄化して良くないものが近付けないようにする、という作用なのか、と思ったりもするが、いつもの事ながら真相については分からない。
もしかしたら先日話した煙のように、塩にもそういうものを吸着する作用があるのかもしれない。
まあなんにせよ間違いなく言えることは、何より効くのは大抵おばあちゃんたちが口伝えしてるようなまじないだったり処置方法だ。
理由は分からないけど、なんか効く、がやはり一番間違いないのではないかと思うのだ。
これは余談だが、どんなにこれは効く、と人が言っていたとしてもそれが自分にとって最適かどうかなんて分からない。
もしかすると逆効果になってしまうことだってあるかもしれない。
少しでも“ん?”と躊躇することがあるのなら避けるのもまた大事なのかもしれないと、私は思う。
最後に塩に纏わる話でふと思い出したのだが、
自分に塩を振る時、知らずにその土地の神様などに塩をかけてしまうことが無いよう、一言、
“これから塩撒きますよー”
と必ず断りを入れてから撒きなさいと口酸っぱく言われた、という話を聞いたことがある。
この世のものでもこの世のものじゃないものでも矢張り一番大事なのは礼儀なのだなあと思わせてくれたエピソードだった。
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