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【マーケティング基本用語】STP-4P ③Positioningについて深掘り

マーケティングででてくるSTP-4Pって、何がポイントなの?
前々回のnoteでは『STP-4Pが全体が整合している事が大切』


前回のnoteでは『S&Tはターゲットとする顧客を具体的にイメージできている事が大切』


をお伝えしました。


このnoteでは、STPのP(Positioning)について深掘りしたいと思います。

STPは、
Segmentation セグメンテーション
Targeting ターゲティング
Positioning ポジショニング
の頭文字を取ったもので、市場をセグメントに分け、特定の市場をターゲットとして置き、そのターゲットに対して自社製品の立ち位置(ポジション)を確立していくことで、効率良くビジネスを進められるという考え方からきているものです。

図1


ではPositioningについて深掘りしていきます。


Positioning は顧客の認識


Positioningは、ポジション、つまり自社の製品の立ち位置をどうするかです。
ここで大切な事はターゲット顧客に『顧客にとって最も魅力的な製品だと’認識‘してもらうこと』です。

顧客にとって最も魅力的な製品である事 ではなく、
顧客にとって最も魅力的な製品だと’認識‘してもらう事、

これが大切です。

客観的な事実でなく、顧客の頭の中で‘認識’してもらう事がPositioningの重要なポイントです。

Positioningは以下のイメージで語られる事が多いです。

図2

この軸を何にするかで競合と自社の立ち位置は変わります。

例えば、風邪薬で説明します。
効き目 と 価格 で軸を取るとこのようになり、

図3


効き目を副作用の少なさに変えるとこのようになるとします、

図4

並べて見てみましょう。
あなたであればどの風邪薬を買いますか?

図5


『今日は大事な仕事があって会議を乗り切れば休める。そこまでになんとかしたい。』そんな時は私だとAを買います。
一方、『受験生の息子が風邪が長引いていてしんどそう。眠くなるのはいやだと言ってたな』こんな場合はDを買うと思います。

Aのマーケティング担当者であれば、風邪薬のプロモーションの際に、〔効果〕〔即効性〕などを打ち出すのが良いでしょう。Dの担当者であれば、〔眠くなりにくい〕を打ち出すのがよいでしょう。


ではこのグラフ(ポジショニングマップ)は、どこに描かれるものでしょう。


答えは、顧客の頭の中に描かれるものです。

例えば、眠くなりにくい風邪薬が欲しいとドラッグストアに来た見込み客が、製品Dのイメージが正確でなく、少し前に製品Aより製品Bの方が眠くならないって聞いた事があるので、製品Bを買った。もし薬剤師に相談していたら、Dを紹介されていた。この場合はDを買っただろう。こんな事がよくあります。

図6


この例では、実際に眠くなる成分がどれだけ含まれているか、ではなく、顧客がどう認識したかで、風邪薬が選択されました。

日常でも良くあり、例えば、高画質な写真が取れる事を謳っている2種のスマホをよくよく比べると画素数が結構違っていた、でも顧客はどちらも同じくらい良い画質で撮れると思っていた。などです。

事実ではなく、顧客の頭の中がどうなっているか、つまり、顧客の認識がどうなっているかが大切です。


Positioningは軸選びが重要


ではマーケターの立場から、Positioningで何が重要か?について説明します。

マーケターにとって、最も重要な事は、何をポジショニングの軸に選ぶか?です。


軸の選び方のポイントは
① ターゲット顧客にとって優先順位の高い項目である事
② その軸を取った時に自社品が右上に位置付けられる事
③ 軸の数を3つ以上にしないこと
と考えています。

それぞれについて解説します。

軸選びのポイント①

ターゲット顧客にとって優先順位の高い項目である事

軸選びのポイントの1つ目、ターゲット顧客にとって優先順位の高い項目である事について解説します。


顧客にとって何かを決める時には優先順位があります。(優先順位が高い要素のことをKBF(Key Buying Factor : 購買決定要因)と言います。)

この優先順位は顧客によって異なりますが、セグメンテーション、ターゲティングに問題がなければ、共通のKBFが抽出されているはずです。
このKBFに整合した軸を選ぶ事が大事です。

例えば、大阪梅田駅にパン屋をオープンする際、ターゲット顧客が、年収400万円の男性新入社員の場合と、年収800万のOLだと軸は変わりますよね。前者では、価格とボリューム、後者だとヘルシーさとメニューの豊富さであったりすると思います。
この軸選びは、顧客が何を優先して選ぶかをしっかり調査して決めましょう。


軸選びのポイント②

自社品が右上に位置付けられる事

次の軸選びポイントは、その軸を取った時に自社品が右上に位置付けられる事 です。
選んだ軸でポジショニングマップをかいた際に、自社品が右上に来なければ自社品は選択されません。

図7

事実がどうかではなく、顧客の認識が左であれば自社品が選ばれますが、右であれば競合品Dが選択されます。
軸を選ぶ際は、自社品が右上にくる軸を探しましょう。見つからなければ、セグメント、ターゲットを工夫して、自社品を右上にもってこれるターゲット顧客を探しましょう。

この際、競合品の正しい理解も大切ですので、しっかりと調査してくださいね。


軸選びのポイント③軸の数を3つ以上にしない事


最後の軸選びのポイントは、軸の数を3つ以上にしない事です。

Positioning の軸を何として考えるかは、自社品の何を訴求ポイントにするかというとても重要な意思決定です。
この際、自社品の特徴が多いほど全て入れたくなりますが、グッとこらえて、2つまでに絞りましょう

例えば、ある冷蔵庫の特徴が以下であったとします。
・省エネ 電気代が従来機種より10%削減
・容量 容積が大きく従来機種より5%多く入る
・冷凍技術 急速冷凍機能がついているので熱いものをそのまま入れられる
・野菜室 野菜室が大きく照明も特殊で痛みにくい
・AI レシートと連動していて、賞味期限がいつかスマホで知らせてくれる
・長期間の補償 5年までの故障は無償で修理をおこなう

どれも良い機能なので、顧客に全て説明したくなると思います。
しかし、積極的な説明、つまり軸を何として選び、顧客に認識して欲しい自社品のポジションをどうするかを考える際、軸は2つまでに絞る事を強くオススメします。

これは、人間の頭の中は、いくつもの特徴を瞬時に整理できず、たくさんの特徴を言われると「自社に都合が良い事を言っている」「結局何が優れてるのかわからない」と顧客は感じてしまうためです。

顧客が頭で描けるポジショニングマップは2軸が限界で、3軸、4軸も描く事はできません。
絶対的な特徴を持つ製品であれば1軸でも大丈夫です。
顧客へ寄り添い、軸は2軸までに絞り込みましょう。

図8


STP-4Pの関係

最後にPositioningにS&T(Segmentation & Targeting)とPositioning、4Pの関係をまとめます。

Positioningはターゲットとする顧客にあった軸選びですので、いくつかのターゲットを選定する場合、それぞれに応じたPositioningが必要になります。
また、STP-4Pは全体が整っている事が大切と説明しました。
この点を整理すると以下のような図になります。

図9

ターゲットを変えると、Positioningや4Pも変えなければいけません。もちろん共通する場面も多々ありますが、知らずにやっているのと、知っていてやっているのでは違いますよね。STPを考える際は、STP-4Pが整合しているかを何度も確認しながら、すすめていただければ幸いです。


まとめ

・Positioningは顧客にどのように認識されるかが大切

・マーケターにとって、何を軸として選ぶかが重要
 軸の選び方のポイントは、以下3つ
 ① ターゲット顧客にとって優先順位の高い項目である事
 ② その軸を取った時に自社品が右上に位置付けられる事
 ③ 軸の数を3つ以上にしないこと

・STP-4Pが整合しているかの確認を怠らない。


この内容をお伝えできていればうれしいです。



最後まで読んでいただきありがとうございました。
次回以降もマーケティングの基本用語について解説していこうと思います。
引き続きよろしくお願いいたします。

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