『イレギュラーズ』混ぜるなキケン!嫌われ者共の連合野球漫画
松本直記先生が「マガジンポケット」(講談社)で連載中の『イレギュラーズ』今回はこの作品に触れていきます。
ジャンルは野球漫画ですが、普通の野球漫画ではない。どこが違うかと言えば、まず主人公の学校は元強豪、現在は部員4人監督不在の堕ちた強豪と呼ばれ、学校の「イレギュラーズ」である。
そしてもう一人の主人公の学校は、関東一の不良校であり現在は野球をやっていない。
ここまでは良くある展開だろう。しかしまさかこの二校が連合チームとして甲子園を目指すのだ。
この展開は新しい。様々な野球漫画を読んできたがこの手の連合チームは新鮮であり、不良と野球好きがどう交わっていくのかが楽しみだ。
・あらすじ
「こんな僕たちでも…諦めなければきっと目指せる夢の舞台 甲子園!」
私立常星学園。かつて強豪だったその野球部は、学校の方針がガリ勉エリート校に変わったことをきっかけに、今では部員4人の弱小チームにまで堕ちてしまっていた。しかし、根っからの野球バカ・日々野塁斗(ひびのるいと)には甲子園目指す秘策があった!
しかし甲子園を目指すタッグの相手は、まさかの野球ド素人不良軍団!?
「混ぜるな、キケン」地獄の底から上等カマせッ!嫌われ者共のド直球野球譚!
・野球バカ日々野塁斗を中心に回っていく世界
好きな野球漫画って何だろう?と考えた時やはりピッチャーが主人公で、そこそこ才能があり、甲子園に熱い情熱を注ぐ作品が多い。
しかし『イレギュラーズ』はどうだろうか?
日々野はキャッチャーであり、野球のためなら何でも出来る。たとえ不良にボコボコにされても、相手の身体能力を褒め、この連合チームでなら甲子園に行ける!と情熱を読者に見せつける。やはり野球バカなのだ。
だがこの愛される野球バカが主人公だからこそ、この作品に引き込まれてしまうのだろう。
また読者だけでなく、不良として登場する仲間たちも彼に魅せられて、野球を本気でやるきっかけになるのだろう。
・もう一人の主人公 火狩将太郎
まず初めに、もう一人の主人公とは私の個人的意見です。作品自体では明記されておりません。ご了承ください。
何故もう一人の主人公と表現するのか。それはピッチャーであり、100年に一人の逸材と呼ばれる才能を持った人物だからである。
しかし現在は野球を辞めて、不良高校に在籍している。
辞めた理由は暴力事件であり、その事件が火狩の重い十字架となっている。
これまでの人物像なら普通の野球漫画で主人公扱いされてもおかしくない立ち位置ではないだろうか?
そのこともふまえて私はもう一人の主人公だと思う。
彼が連合チームに加入し、二人がバッテリーを組み一緒に甲子園を目指す姿に思いを馳せたい。
・野球も喧嘩も変わらないものがそこに
野球バカに魅せられて本気になった彼らだが、根底にあるものは変わらない。
仲間に背中を預け、命を張る。「半端者」には、本気になれる環境を与える。キャラクター全員の熱い気持ちが読者にもヒシヒシと伝わってくる。
彼らはもう間違える事は無いだろう。誰かが道を外れそうになっても連れ戻してくれる仲間がいる。高い壁にぶつかっても、努力で越えようとする野球バカが近くにいるから。
彼らが夢に向かって立ち止まることはない。
そんな野球チームをこれからも応援していきたい。
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