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重いまぶたは 愛しい一重

私は20歳の誕生日を迎えたら 絶対やろうと決めていたことがある。

それは 二重整形だ。

私は 元々 一重まぶただ。

それも まぶたの肉が分厚く まつ毛が全てまぶたの下にうまるくらい 肉厚の一重。

形は ちょうどちびまる子ちゃんの藤木くんの目。

で目の大きさと雰囲気は ちびまる子ちゃんの永沢くんみたいだった。
(そういえば 私のあだ名は永沢だった)

兎にも角にも 目が腫れぼったくて 小さくて 一重。 
周囲からは

「目つきが悪い」
「睨んでる」
と言われてきた。

そんな永沢と呼ばれた少女時代だったが

私も 通例通り

思春期を経て

高校生になり 異性も意識しだし 

おしゃれに目覚めたのだ。

しかし 私の拙いメイク技術では
目が睨んだような分厚い一重をおしゃれにすることは困難を極めた。

目つきの悪いのは変わらなかった。

そんな 目つきの悪い私に 現れた救世主

それは

アイプチ

だった。

当時から女子高生の間では アイプチやつけまつ毛など 目元を大きくするコスメは
流行していた。

さっそく アイプチを使う。

アイプチのりをまぶたに塗って

爪楊枝のような付属のステックで
二重線をつくって 貼り付けてるのだ。  

これが 感動した。

私の分厚い一重まぶたに 二重線が現れたのだ。


二重になるだけで 印象がガラリとかわった。

目が大きく見えたし 優しい印象になった。

ファンデーションやその他のメイクは殆どしなかったが

アイプチだけは 毎朝欠かせなくなった。

だかしかし

筋金入りの分厚い一重まぶた。

授業の2限目あたりには、汗やこすれで 
アイプチが取れてしまうこともしょっちゅうだった。


アイプチがよれて取れかかった際には
クラスメイトに

「目に消しゴムのカスがついてるけど大丈夫?」 

と指摘され焦った。

休み時間は アイプチの付け直しをした。

毎日毎日 アイプチをして 

もちろん大学生になってもアイプチをした。

アイプチをし続ければ まぶたに、
二重線が着くという噂も聞いたが

4年やり続けても 私の分厚い一重まぶたはびくともしなかった。

もう いい加減 面倒になった。

二重整形するしかない と確信した。

さっそく二重整形について調べると

整形をするには、未成年の場合
手術に保護者の同意証が必要 とあった。

親に言うのは面倒くさいので

私は20歳の誕生日を心待ちにした。

誕生日 無事20歳になると
ウキウキで美容外科に向かった。

これは 今から20年以上前の話

今よりも整形に対する偏見は強く
整形を大っぴらにする風潮はなかった。

しかしこの時の私は、冷静ではいられなかつた。
とにかく二重にしたかった。

殆ど調べず
自宅から1番近い美容クリニックの
1番安い二重整形プランでお願いした。

それは埋没2点止めの方法だった

まぶたの裏から糸をいれて 
二重になるように結ぶのだ。

部分麻酔をしてから
針のようなものまぶたの裏にを刺され 
まぶたにとおった糸思いっきりを縛られた。

まぶたが取れるかと思った。

施術中の傷みはそれほどでもなかったが

麻酔が切れてからが 地獄のように痛かった。

まぶたは鬼のように腫れ 
じんじんした痛みで眠れなかった。

翌日は 目やにで両目が開かなくなっていた。

一瞬失明したのかと パニックになった。

数日間は まぶたがパンパンに腫れたが

腫れは徐々に引き くっきひ二重が完成した。

腫れは引いたものの 糸を結んだ2箇所は

点々にくぼんでおり 見る人がみれば整形とわかる仕上がりだった。

大学は長期休みだったので 友人にバレずにすんだが

バイト先の同僚には 「絶対やったよね?」ときかれた

私は頑なに

「なんのことかしら?」

とごまかした 

普段アイプチをしているのでごまかしきれると思い込んでいた。

小学校からの友人は私の顔をみるなり

「え?目なんかやったよね?」

やっぱり 即バレだった。

それでも 私は頑なに

「え?やってない やってない」

バレバレの嘘を付いて友人に不信感をもたせた。

私の焦り具合に それ以上突っ込まない優しい友人であった。

今でこそ 整形もオープンになってきたが
あの時代は勇気がいることだったのだ。

夫には 逆さまつ毛のオペ歴ありと
嘘をついたわけだが

生まれてきた息子は 
昔のわたしの目にうりふたつ 

ばっちり 完璧一重まぶた。  

やっと気がついた

息子は 可愛い。

とっても可愛い。ハンサム  

それは

一重とか二重とか 関係ないのだ。

まぁ 我が子だから なのだが

私にとっては

可愛くて ハンサム。


私は 事あるごとに 息子に小さいときから

「可愛い」

「かっこいい」

「素敵」

「大好き」

と伝え続けた。それは自分が言われてこなかったことで自信を持てなかったから
息子には、同じ思いをしてほしくないのだ。

息子は自分をハンサムと思っているようだ。

思春期真っ只中の現在も

息子は 今のところ 自分の見た目を気にしてる様子はない。

将来息子に 「整形したい」 といわれたら

反対しない。

でも 息子の顔が変わるのは

やっぱり さみししい。

私は 自分が 二重整形して 後悔ない

けれど

40年以上生きてみて

なんで あんなに 
二重にこだわってたんだろうと
不思議に思う。

20年前の私がうけた埋没法は 
1年で 糸が取れて やり直しの施術をしてもらった。
その後、今も二重を保っている。 

しかし 今は 二重だが
加齢で重いまぶたが覆いかぶさってきて

また小さな目になっている。


今は それでもいいな

と思っている。 


長年のアイプチや 埋没の糸に一生懸命耐えてきてくれたと思うと 愛おしい。

ありがとう 私の一重まぶた。

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